エデン(Eden)
□10
1ページ/4ページ
ギィンッ、ギィン、ギィイインッ!!
激しい剣の音が鳴り響く。
そして観客達はポカーンと口を大きく開けている。
そして赤の国の兵士達の顔には少し汗。
「おっ、おい…紅亜様の初めの必殺を回避したし、おまけに紅亜様の攻撃を今どうにか避けてるんだよな!?
あっ、あの黄色いの?」
「あっ、ああ…
なんかよくわかんねぇぞ、あの娘」
「まさか本当黄の奴じゃあないんだよな?」
「いっ、いやそんなわけあるか!!」
いや、そんなわけなんだ。
観客席の下から聞こえてくる赤の国の市民達の声。
ワーッ!!ワーッと始めの方は「紅亜様ゴーゴー!!」とか「一発で決めちゃってください!!」との声が聞こえていたが、今現在そんな声は聞こえない。
会場のほとんどの人物が唖然としている。
俺の横にはミリア王女とリト。
ミリア王女は自分の愛用の扇を膝にパシパシ叩いている。
そしてリト、
魔道書のページを高速でめくっている。
顔ドス黒い。いや別にSとかじゃないらしい。本人曰く。
「なあ、ミリア王女」
俺はミリア王女に問いかけた。
「何よ。」
パシパシと自分の膝を扇で叩いている。
これ失礼だが本当に王女か?
「奴に隙が全く見えない。
今の状況でラィアは勝てるのか?」
「さあね。ラィアの実力次第よ。」
―パシッと膝に扇を叩くのを止めたミリア王女。
「ただ、そろそろあの魔法を使ってもいいかもしれませんね。」
リトの口が開いた。
「…あの魔法か?
とりあえず意味あるのかあれ。」
「ええ、きっとありますよ。
逆転を簡単に教えてくださるのですから、きっと効果はありますよ。」
「なら、いいんだが。」
俺は闘技場をジッと眺めた。
あの皇女様とラィア―
きっと剣筋でいったらあの皇女様の方が有利だ。
俺は戦いの参考になるようにジッと見ていた。
「作戦の準備は順調か?」
「ああ、弓部隊も完了している。」
「よし、奴の体制が崩れたら一気にいくぞ。」
「ああ。」
「?」
後ろの方からボソボソと話声が聞こえた。
後ろを向いてみたが誰もいない。
まずここが観客席の最後の列なのだから。
俺は何もなかったように再度闘技場で戦っている様子を眺めた。