松風天馬に恋をする

□ゴミ
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「いたっ!」

「どうしたの?」

「目にゴミ入ったー…」

「えー?ちょっと見せて」


そんな葵ちゃんと天馬の様子を少し離れたところから狩屋たちと一緒に眺めた。教科書を借りようと思っていたんだけどなんとなく天馬に声がかけずらかったため西園君に声をかけた。


『西園君、教科書貸してくれない?』

「いいよー。どれ?」

『数学』

「はい、どうぞ」

『ありがとう』

「ねえみょうじさん。あれ見てなんとも思わないの」


端から見たら恋人みたいだよ。と続けて狩屋は私に耳打ちした。なんとも思わないというか、葵ちゃんだし。他の女の子にあんなことしてたらモヤモヤというかイライラするけど、まだ葵ちゃんだから。……でもまあ、少し近すぎないかなとは思うけど。


『…別に、そこまでなんとも』

「あ、そうなの?…うわ、ゴミの話ししてたら俺目が痒くなってきた」

「ゴミ入ったんじゃない?」

『とってあげようか』

「いや、ほんと痒いだけ」


といいながら何十回も目をこするのでやっぱなにか入ってるんじゃないかと狩屋に顔を近づける。じーっと彼の目を覗き込んでいると突然後ろから誰かに引っ張られた。


「な、なにやってるのっ!?」


天馬の焦ったような声。どうやら彼が私を引っ張ったらしい。両肩を天馬の手ががっちり掴んでいる。


「天馬ー。焦りすぎだよ。狩屋の目にゴミが入ってないか見てただけだよ」

「そ、そうなの?でも、近すぎ!狩屋顔赤いし!」


え?そうなの。天馬に言われて狩屋を見るとホントに顔が赤くなっていた。狩屋って以外と免疫ないのか?私も男性に対して免疫ないからなんとも言えないけど。


「だって!いきなり顔近づけられたらびっくりするだろっ!?それに天馬くんたちだってこんなもん近かったじゃないか!」

「狩屋はなまえになにするか分からないっ!」

「なにもしないよ!」


なんでこんな言い合ってるんだろう。近くにいた葵ちゃんに助けてほしいの眼差しを向けたが、苦笑いを返されてしまった。葵ちゃんでも無理かぁ。私もどうしたらいいのか分からないよ。取りあえず天馬に離して貰わないと教室に帰れない。


『天馬、手離して』

「だって狩屋がっ…」

「だからなんにもしないって!」

『…天馬』


しっかりと天馬を見つめてもう一度名前を呼ぶと不安げな瞳と目があった。全く、なんでそんな不安そうな顔するの。


『少なくとも、こうやって私に触れるのは天馬だけだよ』


私は他の男の人に触れることはないし。天馬以外の男の人が私に触れる理由もない。だから天馬だけなんだよ。


『だから不安にならなくていいの。狩屋は私になにもしない。手を離して?』


優しく言うと天馬はゆっくりと手を離した。そして申し訳なさそうに口を開く。


「ごめん。ちょっと気が動転してた。狩屋も、ごめん」

「流石にびっくりしたけど、大丈夫だよ」

「天馬凄い形相だったもんね」

「それだけみょうじさんが好きってことだよ」


うるさいっ!と天馬は顔を真っ赤にして怒っていた。可愛いなぁ。
こちらとしては嬉しい限りなのでそのまま微笑んでおこう。





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