オレンジデイズ

□悩みがないわけではないんです。
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花火をしましょう!

意気揚々と腰に手を当ててそう宣言したアミちゃんはとてもキラキラしていた。


バン「花火か、いいねぇ」

アミ「でしょう!?」


隣で、なあ。とクロも鳴く。もうすっかり山野家の一員だ。じゃあ、買いに行かなきゃな、とカズ君もやる気満々な様子を見せる。
と、いうことで花火を買いに行くことになりました。


『私、花火すごい久し振りだよ』

バン「そうなの?俺アミ達と毎年やってる」

アミ「あ、これなんかどう?」


花火を物色してるなかアミちゃんが手にしたものは980円の割に何十種類も入ったなかなかリーズナブルなものだった。うん、いいんじゃない?とバン君と答える。
結局アミちゃんが手にしたものの他にネズミ花火など少し変わった花火を数種類買った。








『おお、綺麗!』

アミ「わあ、これ色が変わるのね」

バン「ナノハ、はしゃぎすぎないでよ」


カズ「ヘビやろうぜヘビ」

『なにそれ!』

バン「聞いてないし」

アミ「どっちが年上か分からなくなるわね」


アミちゃんは微笑ましそうに笑っていた。だって、久しぶりだし。このメンバーで花火出来るなんて夢にも思わなかったんだもん。そりゃはしゃいじゃうよ。山野家の庭は狭くもなく広くもなく、花火をやるには丁度良い広さだった。縁側でクロがちょこんと座っていて、みんなが手に持っている花火を目で追っている。ああ、可愛いなぁ、なんて思っていたらなにか冷たいものが腹部を直撃した。


『冷たっ!』

バン「倉庫で見つけた」

カズ「水鉄砲じゃん」

『ちょっとー、服濡れたんですけど』


出来れば日が出てる時にやって欲しかった。出てないと少し肌寒い。


バン「食らえっ」

カズ「バカ、お前、花火に掛けるとか、バッカ!」

バン「なんだって?」

アミ「バン、私にもやらせて」

カズ「ダメだ!渡すな嫌な予感しかしない!」


本当、仲がよろしいなこの三人。目の保養です。眼福。
私は縁側に座って見ていることにした。いつの間にか花火じゃなくて水の掛け合い(しかも一方的)になっていることには敢えてツッコまないでおく。
数分の抗争の末、カズ君はびったびたになっていた。流石に風邪引いちゃうのでバン君の服を借りるために家の中に入る。


真理恵「今、すいか持って行こうと思ってたのよ」

『おいしそう!』

アミ「ありがとうございます」


スイカを先に咀嚼しながら待っていたが、バン君たちはなかなか戻ってこない。


『バン君たち遅いね』

アミ「バンは彼氏としてどうなの?」

『ぶっ!と、突然ですね…』

アミ「ほら、こういう時しかできないじゃない。最近お茶とか行かないし」


そう言えばアミちゃん最近はバン達といるのが多いからそういう話はしてなかったかも。と言っても別に付き合った当初からあんまり変わってないから報告もなにもないけど。
逆に、変わらないから、最近少し不安になって来ている。キスはするようになったけど、それだけ。まあ、バン君は中学生だからキス以上とか考えてないだけかもしれないけど、…もしかして私に魅力がないのかな、とか考えてしまっている自分がいる。これをアミちゃんに言ってもいいのだろうか。



バン「なにしてるの?」

『ほおぁああ!?』

迷っていると突然真後ろから声が聞こえて変な声が挙がってしまった。振り向くとバン君が後ろで耳を押さえている。


『ご、ごめんね?』

アミ「自然に彼女の後ろをキープするのは、ポイント高いわね」

バン「…何の話?」

『あはは…。』


相談できそうにないなぁ。






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