オレンジデイズ

□男子会
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珍しくカズの方から家に来ないか。という連絡が入って、また三人で勉強すると思い、勉強用具を持ってきたんだけど、それはどうも見当違いだったらしい。


バン「勉強するんじゃないの?」

カズ「誰も勉強しようなんて言ってねえぜ」

バン「じゃあこれは何の集まり?」

ヒロ「女子会ならぬ、男子会です!」


だから男子しかいないのか。って言っても三人しかいないけど。机には既にお菓子と飲み物が準備されていて雰囲気だけなら女子会みたいだった。女子会がどのようなものなのかよくわかっていないのに言うべきではないか。
まあ、座れとカズに施されて仕方なく座る。男子会って…なに話すの?正直悪い予感しかしない。


カズ「えー、まずは。ヒロ、ランと付き合い始めたんだよな。おめでとう」

ヒロ「ありがとうございます!」

バン「確か、あの時だよね。みんなでキタジマに集まった」

ヒロ「はい!その帰りにですね!」


嬉しそうに話すヒロに相づちを打つ。


ヒロ「この前キスしようとしたら殴られました!」

カズ「えげつなっ」

ヒロ「でも、そのあとすぐに顔を真っ赤にして謝るんですよ?もう可愛くて」

カズ「惚気か」

バン「えっ、もうキスしたの?」


早くない?だってヒロとランってまだ付き合って1ヶ月経ってないだろ?


ヒロ「?しましたよ?」


当たり前でしょ、みたいなノリで話すヒロ。えー、俺、1ヶ月は確実に過ぎてたよ。


ヒロ「バンさんだってしてますよね?」

バン「そりゃ、まあ…」


先日もしましたよ。しかも何回も。離れようとしていた彼女を抑えつけて。ナノハに触れたいと思う欲望が溢れて仕方がない。自分でも危ないな、と自覚がある。少しでも気を抜くと彼女を押し倒したい衝動に駆られてしまって…まあ、それは俺だって年頃の男子ですから。好きな子前にしてそうならない方がおかしい。そう自分に言い聞かせる。ただ、それを抑えつけるのに必死になる毎日である。


カズ「ぶっちゃけ、どこまでいったの?」

バン「は?」

カズ「いや、だって一緒に住んでてなんにもないってことはないだろ」

バン「どこまでって?」

カズ「率直に言うと、ヤったのかってことだよ」


ヒロが隣でひゃー!と声を上げる。とても楽しそうだ。
此方としては楽しくもなんともないんだけど。嫌な予感ほど当たってしまうもので、溜め息を零す。男だってこの手の話が好きなのだ。まあ聞かれるなとは思っていた。


バン「してないよ」

ヒロ「え!?してないんですか!」

バン「そこまでびっくりしなくても。だって親いるし」

カズ「親がいなかったらヤってた?」

バン「……どう、かな」


それも、ないなと思った。どっちにしろ俺は彼女にそこまでのことをしないだろう。もちろん大切にしたいからって思いが強いからだけど、もう一つ理由があるのだ。カズたちには絶対言えない理由が。俺が理性を保っていられるのもこの二つの理由のおかげ。


ヒロ「ディープまで?」

バン「してない」

ヒロ「えー!したいと思わないんですか!」


それをしてしまったら止まれなくなる自信がある。決してしたくないわけではない。むしろ、したい。前回だってほんと危なかった。胸元掴まれた瞬間、心臓が跳ねて、ストッパーが外れかけた。とっさの判断で彼女を引き離すことができたからよかったけど。


バン「てか、俺の話ばかりじゃなくて、ヒロの話も聞いてよ」

カズ「ヒロはただの惚気話だから」

バン「俺は違うのか」

カズ「お前は純粋だよ。聞いてて安心する」

バン「それ喜んでいいの?」

ヒロ「じゃあカズさんの話でも聞きましょう!」

バン「あ、そうだね」

カズ「い!?いやちょっと待て?俺なんて対した話ないぞ!?」


カズの焦り、戸惑う姿につい笑う。いやいや、君には話さなければならないことがたくさんあるはずだ。彼は気づいてないのだろうか。アミがカズに送る視線に。
あー、どちらも早く言えばいいのに。じれったくて仕方がない。






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