オレンジデイズ
□どこからツッコめばいいのか分かりません。
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あの自分的にはかなり重大(悪い方)な騒動から数日が立ちました。
もちろんお見合いは破棄。そのことについてJr.はすごい喜んでいた。
お前のおかげだ。と言われたが此方としては全く嬉しくない。
一番気にかけていたのはマメさんだ。息子のお見合いをぶち壊されて私のこと怒ってるんじゃないかとここ数日一人でビクビクしていた。
実際行ってみるとマメさんは呆気からん様子で、一応謝ってから怒ってないんですか、と聞くと、
「いつものことだからな!それよか俺は嬢ちゃんに感動したよ!」
よく言った!と頭をくしゃくしゃに撫でられ、その日は1日そのネタでマメさんやJr.に遊ばれた。
帰り際にJr.に一発かましたのは言うまでもない。
バイトが終わって家に帰るとバン君が出迎えてくれる。
あー、幸せだぁ。
こういうのってなんて言うんだっけ、えっと、
『新婚みたいだ』
「帰ってきて第一声がそれ?新婚だったら立ち位置逆だよね普通」
『あれやってよ。ご飯にする?お風呂にする?ってやつ』
「絶対嫌だ」
早く上がりなよ、とだけ言って彼は戻って行った。靴を脱ぎ、リビングへ向かう。手を洗ってから晩御飯の支度をしている真理恵さんに何か手伝いましょうか、と聞いたが、バイト頑張ってるんだから無理してはダメよ、とやんわり断られた。
お言葉に甘えてご飯ができるまで休ませて貰おうとソファーに座ってテレビを見ているバン君の隣に腰掛ける。
ソファーに座ると疲れからか眠気が一気に襲ってきた。うつらうつらとしながら横を見るとちょうどいいところにバン君の肩が。
バン君にもたれるよう身体を傾ける。巧いことバン君の肩に頭を乗せることができた。
「眠いの?」
『んー…』
バン君の手が私の髪を掬う。
それが気持ちよくてすり寄る。
ダメだ。寝ちゃいそう。バン君には悪いけどこのまま少し寝かせて貰おうか。
そう考えた矢先に来客を伝えるチャイムが鳴り響いた。
反射的に頭を上げるとバン君の顎に激突したらしくバン君は顎を抑えて悶えていた。
『うお、ごめんバン君』
「地味にくる痛さ…」
「ナノハちゃーん。出てもらっていい?」
『はーい』
真理恵さんの言葉に返事をしてから玄関に向かう。
誰だろうこんな時間に。
珍しいなと思いつつ何気ない気持ちでドアを開けた。
『どちら様で……』
何気ない気持ちで開けたのがいけなかった。
あまりにビックリしたものでバタンッと思い切りドアを閉めてしまった。
やっちまった!と再び開けたときにはすでに遅し。彼女は瞳を潤ませて歯を食いしばっていた。
『わああ!ごめん!わざとじゃないんだよ!(切実)』
「ご、ごめんな…さ、」
『わわ悪くない!如月さんは悪くないから!』
ごしごし目をこする如月さんの腕を掴み目から離して、落ち着こう、という意味を込めて頭を撫でた。
如月さんは鼻をすすってから私に抱きついてきた。
「ナノハ?誰が来たの?」
そう言いながらリビングから出てきたバン君も私と如月さんを見て動きを止めた。
「……どういうこと…?」
それは私が聞きたいです。
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机を間にして如月さんと向かい合う。
彼女は初めこそきょろきょろと丸い瞳をせわしなく動かしていたが今では大人しく真理恵さんが出してくれたお茶をちびちび啜っている。
『それで、今回はどういったご用件でしょうか』
ハルカ「あ、あのっ、先日のことなんですけど…」
やっぱりか!
むしろその話じゃなければほかに何を話すことがあるのだろうか。
しかし、この前とは違い、如月さんには覇気が消えていた。先ほどの態度といい見合いの時とは間逆とも言っていいほどしおらしい。一体どんな魂胆を持っているんだと若干背筋を伸ばして身構える。
ハルカ「その、この前のナノハさんが」
何を言われるのだろうかと隣にいるバン君と共に唾を飲む。大丈夫、覚悟はできてる。どんとこい。
ハルカ「とてもカッコ良くてですねっ」
『「…は?」』
ハルカ「あの私を強く睨みつける眼、そして力強い言葉!あれを聞いた瞬間稲妻が私の上に落ちたような感覚がしました!」
目を輝かせて力説する如月さんにこちらサイドは言葉が出ない。
ハルカ「つまりですね!あなたに惚れてしまったんです!」
私とバン君の叫び声が響き渡った。
こんなこと誰が予想出来ようか。つい先日まで私の彼氏に恋をしていた子が私のことが好きだって?
バン君はあり得ないという目で如月さんを見ている。
『あの、如月さん?』
ハルカ「なんですか?」
『好きもなにも私、男じゃないよ?』
ハルカ「知ってますよ?」
『……ですよねー』
ハルカ「愛に国境も性別も相手の気持ちも関係ないですよね?」
バン「最後のは初めて聞いた!」
『誰だよこの子にこんなこと教えたのは!』
思わず叫んでしまった。どうしたらいいのだろうか。隣のバン君を見るとわなわな震えていて、突然立ち上がったと思ったら如月さんを睨んだ。
バン「お、お前の俺に対する思いはそんなもんなのかっ!?」
『なに言ってるの!?』
ハルカ「人は変わってしまうもんだと教わりました」
『だからそれ誰に教わったの!』
立ち上がって発狂しそうな彼を抑えつける。いや、バン君の気持ちも分からんことはないけど!
どうするよこの状況!
バン君を押さえつけて唸ると真理恵さんが割って入ってきてくれた。
真理恵「はい、ストップ。ご飯できたわよー」
ハルカちゃんも食べていきなさい。
笑顔を振りまきながらそう言う真理恵さんさんにバン君が絶句した。
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とんでもないキャラになってしまった(°□°;)