オレンジデイズ

□楽な仕事なんてあるわけない。
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先日、見事面接受かりました。うどん食べさせたら一発合格。なんでも手作りが売りらしく、うどん作れる人を探していたみたいです。
と、いうわけで今日はバイト初日。私の仕事はうどんを作ることなので朝早くから出勤です。


『おっはよーございま〜す』


開店前だから人は少なく私を入れて2人。2人で麺をこしらえます。


「おお、随分若いなぁ。」


声をかけてきたのは中年男性に頭を下げる。その人はにこりと笑って私の頭をポンポン叩いた。


「俺は、豆蔵だ。マメって呼べ!」
『マメさん。手、小麦粉だらけじゃないですか?』
「がっはっは!ご愛嬌ご愛嬌!」


名前が豆のくせに身体がでかいマメさん。ちょっ、ホントやめてください。髪が真っ白になる!

やっと手をどけて貰えた時には髪の毛は真っ白だった。


「よし!二人になったから手間が省けるな!嬢ちゃん名前は?」
『ナノハです』
「おおし!嬢ちゃん、冷蔵庫から生地出してくれ!」


あれ?名前聞いた意味なくない?
ツッコみたくなったがなんとか口を閉じて冷蔵庫を開ける。そこにはとんでもない量の生地が置かれていた。


『…これ、どれだけですか?』
「全部だ!」
『ぜっ……』


…初日からハードだ。


「なに言ってるんだ。毎日こんな感じだからな」
『おおう……』
「二人になったからもっと増やすか!」
『え゛…!』
「冗談だ」



マメさんは笑いながら生地を伸ばし切り始めた。私もそれに続く。


「巧いねぇ」
『マメさんには負けますがね!』


気がつけばまばらに人が集まって、開店時間が近づいていた。









『ただいま帰りました〜』
「おかえりなさい。早かったわね?」


リビングに入ると真理恵さんの姿が。相変わらずかわいいなぁ、落ち着くなぁ。


『仕事になれるまでお昼に帰っていいと言われまして。慣れてきたら1日です』
「あれ、ナノハおかえり」


ひょこっと顔を出したバン君。その仕草にキュンとした。


『バン君学校は?』
「春休み中だよ」
『ウッソ!私聞いてない!』
「言った覚えないから。それより、何で頭真っ白なの?」
『…はっ!忘れてた!』


私この頭のまま街歩いた!?それはヤバくないか!


「はい。濡れタオル」
『わあ!ありがとうございます!』


真理恵さんに貰ったタオルで髪をこする。取れたかな、とタオルを離して髪の毛をいじくるとタオルが誰かに引ったくられた。そして腕を引かれてソファーに座らされる。


『バ、バン君!?』
「雑。まだとれてないから」


再び頭にタオルを乗せこする。優しい手つきが気持ちよくて、ドキドキした。
…他の女の子にもこんな風に優しくするのかな。そう考えると嫌だなと思う自分がいることに気づいた。身体が熱い。バン君が後ろにいてくれてよかった。顔が見られることはない。


『(あれ?これ、もしかして…)』


私、バン君のこと…


いやいや、それはないだろうと、首を振る。バン君は弟だ。私がそう言ったじゃないか。こんな感情抱いてはいけない。


「ナノハ?」
『…え?なに?』


いつの間にかタオルが離されていて、バン君の手が私の髪を梳いている。そして何故か真理恵さんの姿がない。


「明日、バイト?」 『…っ、うん。お昼までだけど』
「昼から開いてる?」
『まあ、』


ああ、もう!なんだこれ!バン君の手が上から下へ流れるたびに私の心臓はドッキンドッキン音を立てる。


「明日、キタジマにみんなで集まる予定なんだけど。来る?」
『!みんなって?』

クルリとバン君の方へ顔を向ける。


「ヒロとかランとかジンとか…」
『行く!』


うわわ!ヒロ君たちに会えるんだ。どうしよう、嬉しすぎる!目を輝かせている私にバン君は微笑んだ。


そういえば…


『みんなに私のこと言わないの?』
「え?」
『トリップしました。ってホントのこと言ったほうが早いんじゃないかなと』
「ダメ」
『なんで、』
「嫌なものは嫌なの」
『女子か!!』


結局、最後までバン君が折れることはなく、私は放浪癖のある親戚ということになりました。なにはともわれ、明日が楽しみだなぁ。





―――――――――――


早くバンとイチャイチャさせたくて仕方ないです。


次回はみんな登場(≧∇≦)するかな…?






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