ダンボール戦機
□unrequited love
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運命なんて馬鹿みたい
昔から目立たない方でついでにいうと不幸体質。なにもない所で転ぶなんてしょっちゅうだし、頭に鳥の糞が落ちてきたこともある。
正直、話のあう友達もいない。教室では机に座って静かに本を読むか勉強。そのためかいつの間にかクラス内で空気と呼ばれるようになった。
そのくせいっちょ前に好きな人がいるわけで。その人と話したことなんてあるわけない。だって私とは全く正反対の人なんだもの。
彼は活発で私は静寂。
彼は人気者で私は空気。
彼が光で私は闇。
分かりやすくいうとこんな感じ。しかも不幸なことに彼と一緒のクラスになったのは小学3年生の一度だけ。中学は離れたから三年間会ってない。こればかりは神様を憎んだ。まあ、一緒にいてもしゃべるなんてできるはずないんだから、仕方がないんだけど。しかも小学3年生のとき、自惚れていた罰なのかお気に入りのハンカチをなくすというアクシデントがあった。 あれは本当に泣きそうになった。
中学校に入学しても私の不幸体質は健在で。友達もできず、授業を受けて、本を読んで、勉強して、そんな1日を繰り返して。
でも、1日だって彼のことを忘れたことがない。
馬鹿だよね。彼は私のことなんて覚えているはずないのに自分だけ。神様はいじわるだと嘲笑った。
いつだったかそんな毎日に飽きて、私が生きてる意味なんてあるのかな。なんて考えた時期があった。今になると馬鹿らしい。意味なんて自分で見つけるものなのにね。その時の私は大分ひねくれ者でその証拠に腕には今も数本の傷跡が残っている。一回無意識のうちに強く引いちゃって血が止まらなくなってしまったことがあった。でも不思議と痛くなかったんだ。だからずっとポタポタと流れ落ちる赤黒いそれを見ていた。幸いお母さんが気付いてすぐ手当てしてくれたんだけど、お母さんが来なかったら私死んでいたのかなって思う。
そんなこんなで色付いた青春を送ることなく私は高校生になった。入ったのはLBXなどちょっと専門的な勉強ができる高校。理由は普通の高校はつまんないだろうということと、彼の好きなことを私も少しでも知りたいと思ったから。ホント、気持ち悪いなと自分でも思う。
LBXの世界大会の中継がテレビでやっていて偶然それを見ていたら、彼を見つけた。当たり前だけど背が高くなっていて顔立ちも男らしくなってた。
見た瞬間叫びそうになって口を押さえながら画面に釘付けになっていた。
それからだ。LBXのこと知ろうと思ったのは。
昔から勉強しかしてこなかったもので首席で入学。入学式の際は全校生徒の前で話すことになった。元々人の前に立つおろか、人と話すことなんてなかった訳だから足はガクガク、汗ダラダラで何回か噛みながらもなんとか話きった。最後まで頑張った私を誉めたたえてほしい。
あれから数日。学校の昇降口。またいつも通りの毎日が終わるのかと息をつく。
「……見つけたっ!」
軽くはずんでいる声に思わず顔をあげた。
『……あ…。』
無意識に口元に手を持っていく。
なんで。
なんで。
彼がいるの?
彼は私に近づく。そして目の前に止まるとカバンの中からあるものを取り出して、私に差し出した。
「やっと、見つけた。これ、落としましたよ」
『……これ…』
昔、なくしたハンカチ。
震える手でそれを受け取る。
『ずっと、持っててくれたの…?』
6年間の間ずっと。忘れずに?
そう聞くと彼は笑った。
「ねぇ、運命って信じる?」
『…運命?』
「また会えるなんて思ってなかった」
私もだよ。それよりも私のことを覚えてくれてるなんて思ってなかった。だって彼と同じクラスになれたのは一度だけ。話したことすらないのに。
どうしよう。緊張で言葉が出てこないよ。
真剣な顔した彼と目があう。恥ずかしいのに逸らせない。
「俺、前から名無しののことが――…」
その言葉のあと、冷たい雫が私の頬を静かに濡らしながら伝い落ちた。
サヨナラ
unrequited love
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