I Love You!
□八話
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「初めまして。今日からキミの世話係になったカイトだ。よろしくね」
一面真っ白で家具はベットや机など必要最低限のものだけ、もちろんそれらも白。そんな中一人枕を抱えながら佇んでいる少女は目の前に現れた青年に首を傾げた。蒼く長い髪を後ろで一つ結びしている彼は女性に見えなくもない。それでも一瞬で男と判断したのは声が低かったからだ。白衣を着ているその姿に研究員だということは一目でわかった。
「…かいと?せわがかり?」
同じ言葉を繰り返しながら近づいてくる少女に青年は薄く笑って「そうだよ」と言った。
「さっそくだけど、今からこれを全部覚えてほしいんだ。」
そういって目の前の少女にホッチキスで止められた何十枚もの紙を渡す。受け取ったそれと青年を交互に見る少女。
「きょうのぶん?」
「そうだよ」
「いつもよりすくない…」と呟きながらぱらぱらと紙をめくる少女。めくり終わったあとすぐにそれを青年に差出した。
「…もう終わったの?」
「うん。」
枕を抱えなおして、コクリと頷き、大きな瞳で青年を見つめる。さりげなく髪を掻いていた青年のその姿に少女はおもったことを呟いた。
「かいとのあおいかみきれいだね。ここはまっしろだからよりいっそうきわだってみえるよ」
青年は小さい子どもから出てくるとは思わないカタコトだが難しい言葉づかいに大きく目を開いた。対して少女はきょとんと首を傾げる。青年はふっと笑みを漏らして少女の頭を優しく撫でた。
「ありがとう。でも、キミのエメラルドには敵わないよ――。」
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ケイトはCCMを見つめながらボタンを押す。何コールかしないうちに画面が映りかわる。その画面に映った人物にケイトは話しかけた。
ケイト「例の奴、見つけたよ。さっきバトルしてきた」
《ああ、そうかい。どうだ?彼女は》
ケイト「本気でこなかった。データはそっちに送ればいいんだろ?」
《頼むよ。》
ケイト「ちょっと同じ技使ってやったらすぐ動揺してさ。腕落ちたんじゃないの?」
ケイトの言葉に画面越しに笑みを漏らす。
《それは本気の彼女を見てからいったほうがいい。キミにあの子を倒せるかな?》
・・
ケイト「馬鹿言うな。あいつは俺が壊す」
《そうだったね。そんなことより申し訳ないが、キミには今から行って欲しいところがあるんだ》
ケイト「申し訳ないとか、思ってないくせに言わないでくれる。遠出は無理だから」
《なんてことない、近場だよ》
ケイト「…どこに行けばいいの」
その人物は怪しい笑みをケイトに向けた。
《A国副大統領、――アルフェルト・ガーダインのところまで》
→あとがき