I Love You!
□八話
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無事空港に到着したレイナ達。飛行機を降りると目の前に一人の女の子の姿、青い瞳に金色の髪を二つに結び、前に持ってきている。明らかに日本人ではないことは分かった。五人の足は自然とその少女の前で止まった。
「やっと来たわね。このジャンヌDと勝負よ」
LBXをこちらに突き出しながらの突然のバトルの申し込みに一同は首を傾げる。
ラン「どういうこと?」
ヒロ「てゆうか、誰ですか?」
ランとヒロの問いかけに少女は微笑みながらポケットからDキューブを出し、後ろに投げた。投げられたDキューブは地面に落ち、ジオラマを形成させる。
「とにかく勝負よ、山野バン!」
レイナ「バン?」
この少女はバンと勝負がしたかったのかとレイナは横にいるバンに目を向ける。当の本人はきょとんとした表情で少女をみつめていた。だがすぐにきゅっと顔を引き締め一歩前に出た。
バン「誰だか知らないけど、急いでるんだ。相手はしてられない」
コブラ「いいじゃねぇか。異国での初バトル」
コブラの一言にバンは「え?」と聞き直す。ランも「なんか感じ悪い。やっちゃいなよ!」とコブラに賛同した。コブラがほら、と顎で相手を指す。バンは厳しい顔をしながら「わかりました」と返事をし、少女に向き直った。それを合図とみたのか少女はCCMを操作し、LBX《ジャンヌD》をジオラマの中へ入れた。
バン「エルシオン!!」
バンもすぐにエルシオンをジオラマの中へいざなう。バトルスタートだ。
「行くわよ!」
バン「こい!」
ジャンヌDの武器は両手に持った二丁の銃。ジャンヌDの銃撃を盾で受けながら、エルシオンは相手に相手に攻撃をあたえる。ジャンヌDは華麗に攻撃を避けながら打つ。どちらも一撃も譲らないバトルが続いた。
バン「やるな!」
ヒロ「なんて正確な射撃!」
ラン「この人、強い!」
二人の戦いを見てるランとヒロは感嘆の声を上げた。少女はその言葉に笑みを漏らす。
エルシオンは大きく槍を縦に振りおろした。ジャンヌDはそれを飛び退ける。少女は「チェックメイトね!」といい、上からエルシオンをめがけて射撃した。
盾が間に合うか、それだけをレイナは考えていた。それが勝ち負けを決めると。だが、バンはレイナが考えていたこととは全く違う行動をおこした。エルシオンはジャンヌDめがけてジャンプしたのだ。自滅にもなりゆる行動。弾はエルシオンにあたることなく、さっきまでそれがいたところをすべて打ち抜いた。少女も飛んでくるとは思っていなかったのか「何!?」と声を漏らす。しかし、すぐに持ち直してエルシオンの斬撃をすれすれのところで避けた。
レイナ「(さすがバン!)」
声に出さなかったもののレイナも感嘆した。あんな思い切った行動、私はしない。最近はすることも多くなったけど、昔は確実に勝つためもっと慎重だった。そう教え込まれていたから。バンのような人物に会わなかったら今でも勝ちだけにこだわる人形だったのだろう。
レイナは静かに笑みを漏らした。
「ここまでにしておきましょう」
レイナがそんなことを考えていると前方からそんな言葉が降ってきた。驚いて少女をみると彼女はすでにジャンヌDをジオラマからだしていた。四人は眼を丸くした。
「噂通りね、山野バン。私はジェシカ・カイオス。あなたたちを迎えに来たのよ」
コブラ「NICSからだな?」
ジェシカ「ええ。」
ジェシカはヒロ、ラン、レイナを順番に見てそれぞれ名前をいった。
レイナ「コブラさん…知ってましたね?」
レイナが小声でコブラに問いかけるとコブラは悪戯が成功した子供のようににやりと口角をあげた。
ジェシカ「じゃあ、行きましょう」
くるりと身を翻してジェシカは歩き出した。やっといけるのか、と歩き出す。と、いうわけにはいかず、「ちょっと待ったぁ!」と前方のほうから声がかかった。あまりに大きな声だったのでバンたちの肩がびくりと揺れる。
「ジェシカ、ひどいわよ!!一人だけ!!」
入口のところで仁王立ちしている少女。またか!とランは声を荒げた。なかなか空港を出られない。四人は今度こそ盛大なため息をついた。
ジェシカ「ケイト!?あなたどうしてここに…」
ケイトと呼ばれた少女はかつかつとジェシカに詰め寄って腰をおって、ずいっと顔を近づけた。
ケイト「なんでじゃないだわさ!私だって…」
だわさ?どこの方言だろう。とレイナは首を傾げた。ケイトはなんやかんや言って、ジェシカの話しに耳を傾けようとしない。ついにはバンが二人の間に割って入った。
バン「ちょっと!俺たち急いでいるんだけど!」
バンの姿をみたケイトはきゃ〜!となんとも女の子らしい声をだして、顔を両手が隠した。
ケイト「ほ、本物だべ!?」
バン「は?」
ケイト「いや〜!本物だべ!本物の山野バンだべ!!」
ジェシカのほうを向いて確かめるように叫ぶケイトにランとヒロは耳を隠した。なんとも声がでかい子だ。見た目はいいのに勿体ない。
ケイトはキラキラした目でバンを見て、とんでもないことを言い出した。
ケイト「抱き着いていい!?」
バン「え!?」
ケイト「ありがとう!!」
バンがなにかをいうよりも早く、ケイトはバンに抱き着いた。突然のことにバンも目を丸くすることしかできない。ジェシカは頭を抱えた。レイナは絶句した。
ジェシカ「もう!離れなさい!!」
ジェシカがケイトを引き離す。えぇ〜といいながらしぶしぶと離れるケイト。
ジェシカ「帰りなさい!」
ケイト「ちょっと!今日の目的を果たしてないわ!」
そういいながら押してきたジェシカを押し返す。なかなか力がある子のようだ。ケイトはこちらに向き直りう〜ん、と顎に手を寄せ考えるそぶりを見せる。そして、あろうことかレイナを指差した。
ケイト「ホントはバンと勝負をしたいところだけど、さっきジェシカとやっていたから仕方ない!あなた、私と勝負だべさ!!」
レイナ「…は、へ!?…わ、わたし?」
さっきの衝撃の場面にうわの空だったレイナは我に返り、おそるおそる聞き返す。
ケイト「そうよ!何か賭けしたほうがやる気になるべ〜。う〜ん…。」
しばらく悩んだ末ケイトは、なにか面白いことを思いついたのかにやりと怪しい笑みをレイナに向けた。
「決めた!このバトル、私が勝ったらバンとデートする!!」
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