黒執事
□恋する坊ちゃんは女の子E
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今日、シエルは会社の用事があるというので学校には来ていない。
セバスチャンは時間を持て余しながら友人と買い物に町に来た。
夕方の雑踏の中、人の波に乗りながらブラブラ歩く。
「おい!セバス!あれ… シエルさんじゃないか?」
一緒にいた友人が指をさす
ん?
指さす方を見ると、確かにシエルだ。
しかも中年の男性と腕を組んで談笑しながら歩いているではないか
-今日は会社の用事があると言っていたのに…
「連れの男はだれだ?お父さんじゃないよなぁ」
友人の一人がつぶやく
確かにシエルの父、ヴィンセントではない。ファントム社の社長であるヴィンセントは雑誌やTVで取り上げられているため今では誰もがその顔を知っている。
もちろん、セバスチャンだってまだ本物に会ったことはないが顔はしっかりと認識している。
-では…だれでしょうか…
会社の人?にしては腕なんか組んで仲が良すぎですよね
セバスチャンは唇を噛んだ
すぐにでもシエルを問い詰めたいがここは他人の目もある。取りあえず落ち着かなくては…
セバスチャンは
「すみませんが急用を思い出しましたのでここで…」
というが速くその場を去って行った
そして、シエルたちの後をつけ始めた。
みつからないように…
たまたま今日のセバスチャンはメガネをかけていた。
これならシエルにだってわからないだろう
二人は迷うことなくどんどん歩いていく
そして行き着いた先は
ミッドタウンにあるカールストンホテル
男性はシエルをロビーのソファに待たせフロントに向かう。
戻ってきた男の手にはキーがある。
シエルは笑顔でまた男に腕を添えると二人はエレベーターへ消えた
その様子を柱の陰から見ていたセバスチャン
顔面蒼白、足は震え立っているのもやっとの状態
-シエル どうして… どうして男とホテルなんかに…
怒りよりも絶望
その場で問い詰めることもできず、二人が出てくるまで待っている気力もなく
肩を落とし…とぼとぼとホテルを後にするセバスチャン
どうやって家までたどり着いたのか覚えてない。
シエルからの連絡もメールも来ない…
自分からしてみようか…いや、怖くてできない
不安は大きくなる
どうして どうして!
私たちの間に何か問題があった?
何もない。ハズ…
今朝、シエルは会社の用事があるからと言っていた
特別変わった様子もなく いつものシエルだった
私が気付いてなかった?
ずっと前からシエルはウソをついていた?
悪い方に考えてしまう。
セバスチャンは一睡もできずに朝を迎えた
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