ZZZ

□そんな君も
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(ササ夏推奨のかたは見ないほうがよろしいかと。)


ミーンミンミンミンミーン…


『…あっつ、い…』


今日はあたしの彼氏、ササヤンこと佐々原宗平の所属する野球部の練習試合を見に来ている。
正確にいえば、今日も、だが。


カキーンッ…


『おおー、宗ちゃん打ったぁー』


ちょっと背は小さいけど、野球が上手くて、人付き合いも上手くて、一々尊敬する、凄い人。
いつも通り笑いながら告白されたときは、嬉しいと同時にビックリした。


『…ササヤン、って呼んでたころが懐かしいよ。』


丁度一年前、一年生の夏休み直前だったなぁー…。



「ねえねえ、相楽さんはさあ」
『うん?』
「好きな人とかいるわけ?」
『ごぶっ!!』
「わっ、ちょっと大丈夫?」
『げほっ、げほっ!』
「どうしましたかのん!?」
『な、夏目ちゃん、気にしないで』
「どうせまた変なことをしでかしたんでしょう?」
『ひどいよミッティ!』
「はははー、相楽は変な奴だからなー」
『ハルくん、それ一番ハルくんに言われたくない!』
「ちょっとー、俺が相楽さんとはなしてるんだけどー?」
「「「ご、ごめんなさい(何か黒い)」」」

好きな人とかいるわけ?って、あなたですけど。聞いてきたあなた本人ですけど!!

『し…しら、ない…』
「しらない?相楽さん本人のことじゃん。」
『いや…ですが…その…!』
「いや、ですが、その…なに?」
『えーっと…』
「えーっと?」
「「「(キャラ違くないか)」」」
「なんか言った?」
「「「いえ、なにも!!(怖ッ!!)」」」
「…で、なに?」
『さっ…』
「…さ?」
『さ…ササヤン、怖い…!』

そんなところもカッコいい、カッコいいけど怖い。好きでしかたないササヤンに聞かれていることも拍車をかけている。

「…はあ」
『…ご、ごめ…』

ああダメだ、嫌われたかも、本格的に。たまにはあ?って顔されるときがあるから危ないとは思ってたけど、まさか、最後の一歩を踏み出しちゃった…?

「ごめん相楽さん。俺ちょっと焦ってたかも。」
『あ、焦って…?』
「…そういう顔するから。」
『…???』
「そういう顔を他のやつらに見せるから、人気になってんだよ?」
『な…なに、なにが?』
「相楽さんが!」
『えっ、そ、そうなの!?』
「そうなの!」
『物好きな人もいるんだねー』
「…はああああ…」
『えっ、え?なんで思いっきり溜息!?』
「…ま、いーや。コレしっといて。」
『ななななななにを…!!』

どどどどどどうしよう、次の瞬間に“俺はお前が嫌いってコト”とか言われたら…!そそそ、その瞬間にあたしは絶命だ…危惧種通り越して絶滅だ…!
恐る恐るササヤンを見ていると、手が伸びてきて前髪をあげられ…

『(え!?なに!?デコピン!?頭突き!?)』
「…俺もその物好きだってこと。」
『…は、』

今までの会話を思い返したら、目を見開いてしまって。ジッとササヤンを見ていると、どんどん至近距離になっていって

ちゅぅ

すっきりした顎と、割と細い首、意外と広い肩。そして、首と肩の奥から見える三人の驚いた顔。

「き…きゃああああ!!!みみみミッティササヤンくんがササヤンくんがのんにぃぃぃいい!」
「さ…ササヤンくん、肉食…」
「え?え!?そうだったのかササヤン!?」

なにより、おでこに温かく、柔らかい感触。

「…好きだよ、相楽さん。」
『………―――!!?///』

目と鼻の先に、キラキラした笑顔のササヤン。

「わ、私ののんに手を出さないでくださいぃいい!」
「は?ヤダよ。」
「ササヤンくんんんんん!!?」
「ササヤン知らなかったぞ!いつから!?」
「んー、一目惚れかな」
「ひ、一目惚れ…カッコいいなササヤン…」
「ササヤンくん。相楽さん、未だに固まってるけど」
「あ、大丈夫?」
『え…っ、さ、ササヤン!』

う、嬉しすぎ、て。ビックリ、で。まともに返事なんて、できない、けど。

ぎゅう…!

『す…好きです…!!!////』
「…え、マジで?」
「いやぁああむぐっ!!?」
「夏目さん静かに!」
「ちょっと空気読め!」

顔真っ赤で、涙目で、とても見せられる顔じゃないからササヤンから見えないように胸の下あたりに抱きつく。
ササヤンが固まったのがわかった。え、ど、どうしよ、ドッキリでしたとかないよね?

「…相楽さん」
『は…はい…///』
「本気で、好き。」
『ッ…!はい…!』
「嘘とかじゃなくて…好き。」

ぎゅう、とササヤンが抱き返してくれる。これが、ササヤンの、体温…
すると、ササヤンの手の力が緩まった。

『…?』

気になって、あたしも手の力を緩める。…すると。

バッ

『ほわ!?て…、んっ』
「「「…ッ!!!」」」
「…ちゅ」
『な…え、なっ…!?///』
「…大好きだよ、相楽さん。」

タイミングを見計らったかのように両肩をもって離され、何かと思ったら、そのまま引き寄せられて…

『き…き、す…?/////』
「へへ、そうだよ」
『〜〜〜!!!///』

「か、過激…」
「そ、そうだな…」
「のんが…」


…ま、まあ、そんなことがあってから早一年。
ササヤン呼びだったのが宗平、もしくは宗ちゃんになり、相楽さん呼びだったのが和香になった。
まあ、一年も付き合っていれば、高校生だし…ごにょごにょなこともありまして…日々深い仲になっていくわけです。
そんなこんなで今日は…というか、今日もまた練習試合を見にきています。


 
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