短編小説

□不器用な嘘
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「先輩、怒ってるんすか」
「別に」
「ほな何で目みてくれへんのですか」
「…別に、」
「ほら、みてへんやん」



もうすぐ夏休みが終わるという、今日8月31日。学校で受験勉強をしていた私の元に、久しぶりに光からメールが来たと思ったら『 たすけて 』のたった4文字。いつものイタズラだと思って『 ばーか 』と返事したものの、いつまで経っても返事が来ないことに少し心配になって電話を掛けてみるも、出る気配は無い。そういう訳で急いで光の家に来てみたら、光はけろっとした様子で「先輩、遅いんやけど」と私を迎い入れた。あんなに心配して駆けつけたのがバカみたいだ。




「なに、あのメール」
「そのままっスわ」
「だって、」
「寂しくてしにそう、だから助けてって意味」
「…はあ?」




「だって先輩、最近かまってくれへんやん」と言って私を抱きしめる光の言葉に、そういえば最近勉強ばっかりで会ってなかったなあ…と、ぼんやり考えた。




「光、痛い」
「嫌や、離さへん」




「、光」そう言って少し強引に離すと、寂しそうな顔をした光がいて、不覚にもかわいい、と思ってしまう。やっぱり光には甘いなあ、私。

「ごめんね、光」
「…なん、」
「私自分のことしか考えてなかったね」
「先輩、」
「いまからどっか行こうか」
「…勉強ええんスか」
「夏休みの最後くらい光と一緒にいたい」




そう言い終わる前にもう一度私をギュッ、と強く抱き締めた光に、最初のイライラなんて一瞬でどこかへ行ってしまって、今度は私からギュッ、と抱き締め返した。




「…先輩、痛いっスわ」
「え、嘘、ごめん!」
「嘘や、嬉しい」




夏休み最後の思い出は、光と一緒に作りたいから。「先輩、好きや」と言っておでこに落とされた唇が触れた部分が、やけに熱かった。






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よく分かんないですね、
ごめんなさい(泣)

(2010.0812)




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