短編小説

□summer wars
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『だらだらしてないで動きなさい!』
「うえー、鬼ー!」
『ほらほら、邪魔!』




実の娘に邪魔ってどうなの。昨日終業式が終わって今日から待ちに待った夏休みやっほーい!なんて思ってたけど全然で、家はクーラーも効いてないし母とゆう名の鬼が住んでいるし、こんなことなら学校でだらだらしてた方がマシだ。




「だってすることないもん」
『宿題があるでしょう』
「…ちょっと出掛けてきまーす」




宿題は最後の3日間で余裕だぜ!派な私には夏休みの初日から宿題なんてありえない。宿題は焦ってなんぼだぜ!(とかいいつつ毎年友達に泣きついて手伝って貰ってるのは内緒)
しかし勢いで出てきたはいいけど、こんなに日差しが暑いなら家の中で宿題やってる振りしてたほうが良かったかも、なんて早くもさっきの発言を撤回したくなるくらい外は暑い。「あ、コンビニでアイス買おう」と思い立って向かってみると駐車場には何やら見覚えのある緑の自転車。


自動ドアが開いて店員の『いらっしゃいませー』というやる気の無い声が聞こえたと同時に入り口付近の雑誌コーナーから「げ、」と言う声が聞こえた。





「やっぱりユウジじゃん」
「ほんま最悪や、夏休みの初日にお前と会うなんて幸先悪いわ」
「うわ、なんて失礼な」
「お前なにしてん」





「暇人やな、」なんて毒を吐くユウジにいつもならすぐに反撃して喧嘩になるところだけど、もうね暑過ぎてそんな事する元気も無いのに加え、さっき気付いたんだけど何やら私は重大なミスを犯してしまったらしい。ということで、今は大人しくユウジの機嫌を取るしかないっちゅー話や、あれ謙也くん?






「アイス買いに来た」
「へー、ちゅーか今日えらい大人しいやん気持ち悪っ」
「そうかなー。ところでさ、ユウジ」
「おん?」
「アイスおごって☆」






ついでにウインクまでしてみたけど、これはさすがに気持ち悪かったかな。だって勢いで出てきたから財布なんて持ってきてないんだもん、さっき気づいたけど!





「…ふーん、ええで」
「え、いいの?やったー!」
「おん、奢ったるわ」





やっぱり駄目かな、なんて思ってたけど答えは意外にもあっさりとOKだった。なんだ、ユウジいいやつじゃん!「好きなの選んでええで」なんて言うから普段では高くて買えないハーゲン●ッツを買って貰ってしまった、わーい!





「ほい、」
「うわー本当に感謝!じゃ、これで「待て待て待て」
「ちょ、なに」
「まさかタダで貰えるなんて思てへんよなあ?」
「…いや、私はこれで」
「いやいやいや、お前は俺と一緒に来て貰うで」
「…どこに」
「俺ん家」
「…何で?」





なんとなく答えは分かっていたけどもしかしてもしかすると私の考えは外れているかもしれないなんて無駄な抵抗は虚しく、「もちろん、宿題に決まってるやん。手伝ってもらうで」と言って見たこともないような笑顔で微笑むユウジにただ頷くしかなかった。いやいやいや怖いからね、君の笑顔!それにしてもユウジん家は久しぶりだ。「ほないこかー」なんて言いながらどんどん進むユウジを追いかけながら、まあ初日から宿題に取り掛かるのも悪くないかなーなんて考えている私は、本当に単純すぎると改めて思った、そんな夏の一日。







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あ、ユウくんとは幼馴染です!
いやー幼馴染いいよね、最近ハマってるんでたくさん書くかもね!←








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