短編小説

□愛しさのジレンマ
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別に七夕だからってなんかするわけでもないし、この年になって短冊に願い事書いただけで叶うなんて思ってるわけでもないんだけど、それでもやっぱり「七夕」という特別な名前が付けられている日はなんだかワクワクしてしまう。謙也なんて「うわ、今日七夕やん!ちょ、俺の日やで俺の日!」なんてはしゃいでるあたり、やっぱり中学生ってまだまだ子供なんだなーって実感させられた。





「財前、今日何の日か知ってる?」
「七夕、って言えば満足なんすか」
「お前本当に生意気だなコノヤロウ」
「ホメ言葉っすわ」
「わーお、さすが財前クン」
「で、なんなん」





いやいやいや「なんなん」って聞かれたら別に何でもないんだけどいつもツンツンしてる財前でもやっぱりまだ中学生なわけだから七夕ってっていうイベントでワクワクしたりしてんのかなー、なんて思ったけどその考えはかすりもしていなかったみたいです。お前本当に中学生か。





「いや、別に意味とかないんだけどさ」
「なら聞かんとって下さい、時間の無駄っすわ」
「おま、本当に後輩かその態度!」

「あ、ちょうどええとこにおった」
「…部長、それなんすか」
「え、なにそのでっかい笹!」
「オサムちゃんが貰ってきてんて。これに皆で願い事吊るそうや!」





「これに願い事吊るしたら叶うんやで!」なんて無邪気に笑う白石の隣で心底残念そうな顔をした財前を私は見逃さなかった。「先輩ら、ほんまガキっすわ」とかなんとか言いながら帰り仕度をする財前。なんなのこの子、本当に中学生なの?(2回目)




「ちょ、財前なに、帰るの?」
「見れば分かるやろ」
「まあまあ財前、そんなこと言わんと書いて行きや」
「…ま、しゃーないっすわ」




そう言ってそこらへんに転がっていたペンを拾い、さらさらーっと何かを短冊に書き「これでええやろ、ほなお先に」と残してさっさと帰って行った。なんだ、ちゃんと書くなんて意外とかわいいところあるじゃん!




「財前、かわいいとこあるやん」
「なんて書いたんだろ」




そういって白石が手にしている短冊に目を向けるととても丁寧な字で「先輩らが早く引退しますように」と一言。いや違う、これは財前なりの愛情表現だよ、とフォローを入れようと思い白石に目を向けると「…ほんま、手の焼ける後輩や」とかなんとか言いながら目頭を押さえていたからそっとしておいた。












愛しさのジレンマ
(ようするにツンデレ)







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たすく様リクエスト
財前七夕ネタ

たすく様のみ持ち帰りおkです
なんか、こんなのですまない( ^o^ )←






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