■お兄様は最古の王
□【その9】怒らせたら、ダメ、絶対
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「ここが新宿、、、ます、、、
いえ、立香さんが生まれた国の都市の一部ですのね。」
「人ごみが凄いから、はぐれないように気を付けてね!」
「はい、お気遣いありがとうございます。」
「立香、ハンバーガーが食べたい。
食事はまだか?」
マスター・立香、アイラ、アルトリア[オルタ]は新宿にレイシフトしていた。
何をしに来たかって?
今日の目的はアイラの水着を買いに来ました!
アルトリアは万が一の為の攻撃系戦力で付いてきて貰った!
何でかって?
そりゃぁ、夏の水着イベントの時期ですからね!
アイラにも夏を楽しんで貰おうと思って!
スカサハ師匠に霊基いじって貰ったり、ダ・ヴィンチちゃんに水着作って貰う手もあるけど、、、
亜種特異点だった新宿が修正され、その後の様子見も兼ねて今回はやってきた。
流石に現代で「マスター」と呼ばれてると変なプレイ中なのかと勘違いされてしまうかもしれないので、
サーヴァント2人には名前で呼んで貰っていた。
水着なので今回は女子だけのレイシフトです。
でも兄のギル様'sは凄く行きたがっていたが何とかアイラが留めた。
そしたら代わりと言ってはなんだが、
こんなに何に使うんだよと言いたいくらいの充分過ぎる程のお小遣いをアイラは貰ってきた。
流石は王様や、、、お金持ち。。。
宝物庫にある水着は、基本すべての原点となってるデザインだからね。。。
うん、、、何も言うまいて、、、ね、マシュ。。。
「アイラちゃん、そのワンピース可愛いね!
流石マリーちゃん!」
「ありがとうございます。」
流石にいつもの衣装だと現代では浮いてしまうので、何か洋服を、、、
と考えていたらマリーアントワネットが衣装提供してくれた。
上品なレース使いのシンプルな白いワンピースだ。
『うふふっ、女の子はね。可愛くなくちゃ!
可愛く、笑顔と愛を振りまくのよ!
ヴィヴラ、フランス!』
アルトリアは特異点にいたアルトリアが着用していた例の私服礼装だ。
カッコいい。
「立香、アイラ、目的地が見えた。
あの店だろう?
目的が済んだらハンバーガーが食べたい。」
「うん、あのお店!
ありがとう!
買い物終わったらビーフ100%のタワーバーガーでも食べに行こう!!」
やってきたのは若者に人気の商業施設だ。
その中にある水着ショップで何がいいか3人で見ていた。
「色々な型があるのですね。
迷います。」
「これなんかどうかなー?
そういえば、アルトリアも一緒に水着買っちゃう?」
「私はいい、既に水着メイドの私がいるからな。
キャラが被る。」
「そっかー。」
「そういえば、アルトリアさんも沢山いらっしゃいますね。
お兄様以上に沢山いて、驚きました。
ご挨拶させて頂きましたが、皆様とても良い方々でした。」
「…お前、本当にあの金ぴかと同じ血が流れているのか?
未だに信じられん。」
アルトリアは性格が全然違いすぎている為か、そんなことを言ってきた。
アイラは特に気を悪くしたという風でもなくふわっと笑う。
「うふふっ、そうですよ。
特に弓のお兄様がご迷惑を掛けているそうで、申し訳ございません。」
「いい。お前のせいではないからな。
アイラ、これなんかどうだ?」
「少し、肌の露出が多過ぎなのでは、、、?」
「今時はこんなものだよ、アイラちゃん!
ねぇねぇ、こっちもどうかなー?」
そんなこんなで試着を繰り返し、何とか水着を購入した3人はアルトリア念願のハンバーガーショップへと移動した。
「100%ビーフパティ使用のタワーバーガー。。。
イイものだな。。。」
「ふふっ、同感です。
偶にはこのような食事も良いですね。」
「あー、、、カルデアとは違うこの現代の感じ、、、懐かしー。」
テーブル席で立香の対面にアルトリアとアイラが座っている。
食後のまったりタイムだ。
三者三様、思い思いの感想を述べていると何やらちょっと浮かれた様子の男たちが立香の後ろから声を掛けてきた。
「お姉さん達、今日は女子会?」
「彼氏とかいないなら俺たちと遊ぼうよ!」
「俺たちとイイことしない?
すっごく楽しい遊びを教えてあげるよ。」
エネミーの類の敵ではない、俗にいうナンパと言うやつだ。
話の内容からして若干危険な香りが漂っている。
というか明らかに下世話な、、、邪な空気がある。
「いや、お前たちに興味は無い。
他をあたれ。」
流石に普通の人間に宝具だなんだとやるわけには行かない。
まずはアルトリアがビシッと拒否の言葉を発した。
「おねーさんクールだねー。」
「そんな冷たい事言わないでよ。」
「そうだぜ、3人とも可愛いから、特別にお姉さん達には秘密の楽しい遊び教えてあげるからさー。。。」
そして男の一人が立香の肩にポンと手を乗せた時である。
「おい、彼女に触れるな。
消えろと言うのが分からないのか?」
「お兄さん、この子怒らせると本当に怖いから。
辞めてくれませんか?」
「つみな、、、ものには、、、」
アルトリアは先ほどよりも怒気を強め、立香は忠告の意味を込めて言葉を発する。
アイラはと言うと下を向き、
おろしている髪のせいで表情が伺えないが口元が動いているのが微かに見えたので聞き取れない位の声で何か言葉を発しているようだった。
ゴロゴロ、、、
ドーン!!
突如激しい落雷の音と共に店内が停電した。
施設フロア内の中心部に位置する店内は窓の光が入らず暗闇に覆われる。
『お客様!落ち着いて下さい!
只今状況を確認致します、どうかそのままの場所で待機願います!!」
店内が騒然とするなか店員の叫び声が聞こえる。
だが立香たちのいる部分だけ、まるで空間を切り取ったかの様に違う空気が漂っていた。
暗闇の中で赤い瞳が鮮血の如く怪しい光を帯びる。
蛇の様な瞳に睨みつけられているような、触れてはいけないものに触れてしまったかの様な感覚が男たちを襲う。
「その汚らわしい手を放しなさい。。。
貴方たちの罪に、、、今ここで判決(ジャッジ)を下しましょうか?」
低い、絶対零度の凛とした声がする。
「ひっ!!なっ、、、何なんだ。」
「さぁ、これは貴方たちにとって悪夢です。
忘れなさい。それが貴方たちへの罰です。」
その言葉が言い終わるとパッと、店内の明かりが復旧した。
「いっ、、、
今のは…?」
男たちが動揺していると、先ほどとは違う柔らかい声が聞こえる。
「顔色が悪いですよ?
暗闇の中で悪夢でも見ましたか…?」
「赤い、、、瞳。」
「行くぞ!
何かヤバい。」
アイラがまるで心配をしているかの如く話しかけると、
男たちは赤い瞳を見て暗闇での事を思い出す。
同じ赤の瞳、でも目の前の女とは明らかに纏っていた空気が違う。
混乱が酷く良く思い出せない。でもここから去らねば。
男たちは混乱のあまり酷く憔悴したような面持ちで去っていった。
「今のは、、、アイラのか?」
「立香さん。
申し訳ございません、独断で宝具を使用してしまいました。
貴女があのような邪な者に触れられるのが耐えられませんでした。」
テーブルの下、見えない死角でアイラの手には宝具の天秤が握られていた。
「ううん、おかげで助かったよ。
店内も復旧して、落ち着いてきてるし。
他に被害がないようなら突然の自然現象って事で何とかなるよ。
ありがとう、アイラちゃん。」
「立香、アイラ、私こそすまない。
何かあった時の為にと共に来たのに、何もしてやれなかった。」
「そんなことないよ。
アルトリアも本当は剣を出したい所を堪えて、ちゃんと言葉で守ろうとしてくれてた。
ありがとうね」
その後、店の外も念のため軽く見回りをしカルデアに戻った。
どんな水着を買ったかって、、、?
それはご想像にお任せします。
まぁ、兄たちは大変気に入ってくれたようです。
【その○】怒らせたら、ダメ、絶対
(ねぇ、ギル様達)
(マスター、どうしました?)
(もしかして、アイラって普段は守ってあげたい系の天然さんだけど、
本気で怒らせると滅茶苦茶怖い系ですか?
普段大人しい程何とか、、、ってタイプですか?)
(何だ藪から棒に?)
(実は、、、かくかくしかじか)
(フハハハハッ!
雑種、貴様もアレを見たのか。
この英雄王と同じ血が流れているのだぞ?
誰がアイラには冷酷な面は無いと言った?)
(マスター、僕だって大人の僕たちのように非情な面があるのと似たようなものですよ。)
(お前もまだまだよな、雑種。
アイラは滅多な事では本気の怒りは見せぬ。
だがな、あやつは審判を下し裁きを与える者だ。
時には非情に、しかし己の信じた正義の為に本気の裁きを与える事もある。
カルデアの電力をあやつの雷でダウンさせられないよう、精々肝に銘じておくのだな。)
(こちらにいらしたのですね。
お兄様達!マスター!
お茶に致しましょう!)
アイラが我々を探していたようだ。
いつもの愛らしい笑顔でお茶のお誘いにやって来た。
そんなアイラを見て立香は改めて思った。
『やっぱりこっちのアイラちゃんが一番だ』