■もしも妹がいたら?シリーズ
□■【ペーター妹】妹と遊園地
1ページ/1ページ
「ではお兄様、行ってきますね。」
「わざわざミントが行く必要なんてありません!
あんな雑菌の温床みたいなところ、顔無しにでも任せればいいじゃないですか。」
ここは宰相の執務室。。。
この時間帯も2人(匹?)のウサギが仕事(?)をしているようです。
ミントはA4サイズの茶封筒を抱えて執務室を出るところだった。
「これは土地交渉関連の重要な書類ですのよ?
使用人に任せられないのはお兄様もご存知だと思いますけど?」
どうやらミントが書類届けのお使いに出るようです。
ペーターは可愛い妹が雑菌に感染するのを心配している様子だが。。。
「それはそうですが。。。
しかし、、、あなたが雑菌まみれになるのは我慢なりません!
・・・はっ!ではこうしましょう!
帰ってきたら僕が全身消毒してさしあげます♪」
「・・・結構です。
何ですか?お兄様は私をホルマリン漬ならぬ消毒液漬にしたいんですか?
・・・はぁ、、、お兄様は潔癖症過ぎです。
では、後は宜しくお願いしますね。」
「あぁっ、ミントー!」
いまだ小言を言うペーターを余所にミントは気にせず執務室から出て行った。
・・・・・・
「いらっしゃいませー!」
「あらー、ミント様じゃないですかー!
こんにちはー♪」
「こんにちは。
ゴーランドはいらっしゃいますか?
この時間帯に書類を届ける事になっていたのですが。」
やって来たのは遊園地。
入場ゲートでは相変わらずテンションの高すぎる従業員に迎えられるが気にせず要件を告げる。
「オーナーでしたらお屋敷にいらっしゃいまーす!」
「ご案内しますねー!」
「えぇ、お願いします。」
従業員達に案内されて園内に足を踏み入れる。
「よぉ、ミント!
元気そうじゃないか。」
「お久しぶりです、ゴーランド。
約束の書類、お届けにあがりました。」
屋敷の応接間に案内されしばし待っているとオーナーことゴーランドが姿を現した。
ミントは持っていた封筒をゴーランドに手渡す。
「おぅ、確かに受け取ったぜ。」
「では、私はこれで。。。」
「おいおいそりゃないだろ!?
折角の遊園地だ。
たまには遊んで行けって!」
「ですが、、、城にはまだ仕事が山のように残っていますの。。。
・・・お兄様の←
私が何とかしないと。。。」
要件が終わった途端に帰ろうとするミントをゴーランドが引き止めると、、、
ミントは悲しい様子でどこか遠くを見据えながら答えた。
そう、やはり宰相閣下殿である兄のサボり癖はそんな簡単には治らないのだ。
「何だ、要はあの白ウサギの仕事だろ?
山のようにあるなら直ぐには終わらねぇ。
ちょっとぐらい遊んで羽伸ばしてもバチは当たんないと思うぜ?」
「そうそう、ミントは真面目過ぎなんだよ!
俺と遊ぼうよ。」
「ボリス!」
「おぃっ!お前いつの間に。。。」
「猫は気配を消して忍び寄るのは得意なんだ。
ねぇ、ミント。遊ぼうよ。
新しいアトラクション案内するよ。」
いつの間に入ってきたのか、チェシャ猫のボリスが現れた。
ミントが口元に手を添えてしばし考えると。。。
「ん〜。。。
うん、それもそうですわね。
ボリス、宜しくお願いしますね。」
「よっしゃ!
じゃぁ、さっそく行こうぜ!」
「はい!」
「・・・はぁ、、、全部ボリスに持ってかれた。。。」
ボリスに手を引かれてミントは部屋を出て行った。
そんな2人を見て1人肩を落とすゴーランドだった。
・・・・・・
「『ぐるぐる回る10回転ジェットコースター』
・・・10回も、、、回るんですか。。。」
「いいだろー。
急降下した直後に連続10回転!
さっ、行こうぜ!」
やってきたのはジェットコースター。
絶叫マシーン王道とも言えるものだが、、、
ジェットコースターって普通10回も回るっけ・・・?
そんな事を思っているとボリスは手を引いてコースターの入場口へとミントを引っ張っていく。
「えっ、やっぱり乗るんですか;」
「何言ってんだよ。
見物だけなんてつまんないじゃん!
俺もまだコレ乗ってないんだよね〜、楽しみ楽しみ♪」
と、言うことでいざ乗ってみました。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「あっはははっ!
たーのしーい♪」
普段おしとやかなミントでさえ、叫ばずにはいられなかった。
「・・・はぁっ。。。」
「あれ、ミントってもしかして絶叫系苦手?」
「いえ、、、ただ最近殆ど城に篭って仕事ばかりだったので。。。
かなり久しぶりのうえにいきなりハード過ぎる物に乗ったので少し疲れてしまいました;」
「そっか、じゃぁ休憩しよう。
ちょっとそこに座って待っててよ。
飲み物買って来るから。」
「ありがとうございます。」
いきなり10回転に乗って疲れきってしまったようだ。
そんなミントを見てボリスはドリンクを買いに近くのワゴンへと向かった。
ベンチに座ってドリンクを飲むと気持ちも少し落ち着いてくるというもの。
2人(寧ろ2匹?)並んで仲良く休憩をとる。
「ふぅ。。。」
「で、どうだった?」
「そうですねぇ、、、確かに疲れましたけど。。。
楽しかったです。
あんな思いっきりに叫んだの久しぶりです。」
「それは良かった。」
まったりしているとミントが何かに気がついたようだ。
「はい。
・・・あら?」
「ん?どした?」
「あの子、、、迷子かもしれません。」
「ママ、、、パパ、、、どこ?」
「パパとママとはぐれちゃったの?」
「うん、、、どこにもいないの。。。
・・・うぇ〜ん!」
「あ〜、泣いちゃ駄目だぜ;」
「そうですよ。
さぁ、私がついていますよ。」
辺りを見回しながら泣いている女の子にミントが近づいて話しかける。
と、女の子は急に泣き出してしまいボリスが慌てていると、、、
なんとミントがポンッと音を立ててウサギ姿に姿を変えた。
「・・・ウサギさん、、、?」
「はい、白ウサギですよ。
パパとママが見つかるまで一緒にいますよ。」
「ホント?」
「ミント、マジかよ。」
「勿論です!
さぁ、まずは迷子センターに行きましょう。
もしかしたらご両親が探しにきているかもしれません。
いなくてもそこでアナウンスを流してもらえばいいですし。」
「はぁ、分かった。
俺も付き合うよ。」
「ありがとうございます、ボリス。」
「じゃぁ行こうか。
迷子センターはあっちだよ」
愛らしいウサギ姿に安心したのか女の子は泣き止み少し落ち着いたようだ。
ミントは小さい手で女の子の手を掴むと優しく話しかけてやる。
ボリスはちょっと面倒そうな様子だったが、
直ぐに気を取り直して案内をすることにした。
・・・・・・
「あっ!パパッ!ママッ!」
「・・・!良かった、心配したのよ!」
「ありがとうございます!
見つかって良かった。」
「とんでもないですわ。
無事にご両親が再会出来て何よりです。」
「良かったな!
もうはぐれちゃ駄目だぜ。」
「うん!ありがとう!
ウサギのお姉ちゃん、猫のお兄ちゃん!」
迷子センターに着くと、そこには女の子の両親が既に到着していた。
両親と女の子から礼を言われると、人間姿に戻ったミントとボリスはその場を後にした。
・・・・・・
「あんたって優しいよな。」
「そうですか?
私だけじゃなくて、きっとアリスも同じ事をしたと思いますよ。」
「あははっ、確かに!
でも、あんたはホントに優しいよ。
兄の宰相さんがあんななのに、、、寧ろそれだからからか?」
「くすくす、褒め言葉として受け取っておきますね。
さて、、、そろそろ城に戻らないと。。。」
「えー、もっといろいろアトラクション案内したかったんだけどなー。」
「では次回案内してくださいな♪
仕事で来たついでではなく、純粋に遊びに来たときにでも。。。」
「おっ、楽しみにしてるよ!」
迷子騒動がありつつもいつの間にか時間帯が変わっていた為、ミントは城へ帰ることにした。
・・・・・・
「ただいま帰りました。」
「遅い!ただ書類を届けるだけなのに遅すぎます!
まさか、、、遊園地で遊んで来たんですか?」
城へ戻ると案の定と言うか、、、
ペーターは飛びつかんばかりの勢いで駆け寄ってきた。
「少しだけ、、、最近仕事が詰まっていたので息抜きです。」
「貴女は真面目だから、根を詰めすぎなんですよ。
あと、息抜きならもっと雑菌が少ないところでして下さい!
穢れてしまいます!」
「遊園地で遊んだくらいで穢れません!!
あと、、、誰のせいで私が根を詰めるまで仕事をしなくてはならなくなったのか。。。
ご自分の胸に手を当てて良くお考え下さいませ!」
凄く真面目に語る兄だが、、、
速攻でミントのツッコミが入る←
「うっ、、、痛いところを突いてきますね。。。
分かりました、、、仕事を溜めないようにもっと頑張ります。」
「そうして下さると私も助かります。
では、、、早速お仕事の消化に取り掛かりましょうか、お兄様。」
「え〜、ミント帰ってきたばかりなんですからお茶でもしてからにしましょうよ〜!」
「頑張ると言ったそばからその発言。。。
お兄様、一回死んでみましょうか☆」
口先だけなのか、、、
ペーターの言葉にミントはうっとりするほどの笑顔が、、、
いいえ、怒り心頭のドス黒い笑顔にペーターは寒気を覚えた。
「すっ、、、すいません。。。
さぁ!仕事しましょうか!お仕事!」
「はい、分かって頂けたようで嬉しいですわ☆」
+妹と遊園地+
数時間帯後...
(はぁ、、、やっと終わりました。)
(お疲れ様です、お兄様。
さぁ、どうぞ。)
(ミント、、、ありがとうございます!)
(お茶にしましょう。
お兄様も頑張って下さいましたしね☆)
何だかんだで兄には優しい妹であった(笑)
fin...