12/23の日記

03:48
晶苹
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「晶馬くん!一緒に帰ろう!!」

駅を出たところで呼び止められた晶馬は、その声の主を見てため息を漏らした。

「…荻野目さん…、もしかして待ち伏せしてたの…?」

恐る恐る、といった感じを満載にして言葉にすると、声の主の少女はニッコリと笑って首を縦に降ったのだった。

「だってあたしは晶馬くんのストーカーだから」

両手を後ろで組んでくるりと目の前で振り向いた少女は荻野目苹果という自称(いや、自他共に認められている立派な)ストーカーである。

「突っ込みどころ満載過ぎて突っ込む気にもなれないよ…」

とりあえず並んで歩き始め、外気の寒さに思わず陽毬のお手製の毛糸のマフラーを巻き直す。
今日はやけに寒いな、と空を仰いだ。
となりを歩く少女はこの寒風吹きすさぶ中、自分を待つためだけにここに立っていたのだろうか。
ちらりと視線を少女に向ける。
いつものようにセーラー服の下にハイネックの黒シャツを着込んでいるだけの寒々しい格好で嬉しそうに微笑んだ苹果と目があった。

(な、なんで僕が罪悪感を感じないといけないんだ…)

苹果の頬と鼻は寒さのせいかうっすらと赤くなっている。
それが何だか自分のせいのような気がして、晶馬は思わず後ろめたさを感じていた。

「?晶馬くん、どうしたの?」

こちらを覗き込むようなその瞳から逃げつつ、少年は大事なマフラーに手を掛ける。
その毛糸の塊を大事に自らの首から外し、苹果の首に軽く掛けてやった。

「これ、陽毬が編んでくれたマフラーなんだ」

「………し、晶馬くん?」

「荻野目さんもう少し暖かい格好しなよ。僕を待ってるせいで風邪ひいたとかなったら、洒落にならないよ」

「…………晶馬くん大好き!!!」

「そういう恥ずかしいこと大声で言わないで…」

マフラーを貸して寒さに身を震わせた晶馬だったが、不意に手のひらに温もりを感じた。

「マフラーのお礼に、あたしの温もりをおすそ分けだゾ☆」

「…その喋り方変だよ」

「えーーー!?」

嬉しさとくすぐったさに顔が緩みそうになるのを抑えて、晶馬はその温もりをしっかりと握り返したのだった。

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