二次創作

□映画を見よう
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映画のディスクを手にした僕は、できるだけ彼を待たせないようにその部屋を訪ねた。
御狐神くんの部屋に入るのは、これが初めてではないものの、やはり気軽な気持ちではいられなかった。
ドアの前でオロオロすること3分、インターフォンを鳴らすのに2分、中から出てきた御狐神くんに招かれつつも踏み込むのに意を決せずに3分掛かった。

そして、今に至るわけだが…。

「何故だ、僕の予想していた映画鑑賞のフォーメーションと違う!どうして僕が君の膝の上にいなくてはならないんだ!子どもか僕は!母親か君は!?」

「そんな、凜々蝶さまのお母様だなんて…僕なんかがおこがましい…」

「頬を赤らめるな!あと、恥ずかしがるところじゃないだろう、そこは!」

何故か僕は御狐神くんの膝の上にいた。
思い返してみよう。
なかなか彼の部屋に踏み込めずにいた僕の手を取って、御狐神くんは颯爽と室内へ招き入れてくれた。
そうして、まだあまり来たことない彼の部屋で居場所を探して戸惑う僕を、ソファへと誘導してくれた。
しかしソファは二人掛け用で、並んで座るにはちょっと窮屈だからと御狐神くんが先に座って僕の手を引いて…


今に至る


「…べ、別に窮屈でも構わないから並んで見た方が見やすいと思うんだが」

「そうでしょうか。僕はこのままの方が、テレビを見つつ視線を下に移すだけで凜々蝶さまも拝見できますので、とても都合が良いです」

「君は本当に難儀な性分だな」

「ご理解いただけたようで嬉しいです」

ちっとも理解できないが、あまりに予想斜め上な答えにもう突っ込むのをやめた。

―映画視聴開始5分後―

…ちょっとこの体勢は密着が過ぎるのでは無いだろうか。
膝の上はやはり座り心地的にも彼の足に掛かる負担的にもあまり良くないと思い、現在御狐神くんの足の間に座っている。
僕のおなかの前で彼の両手が組まれている。
この体勢では、映画どころではない!!
気のせいか、時折彼の薄く笑うような息遣いが聞こえる。
意識すると緊張してしまう。
今は映画に集中しなくては。
…彼はちゃんと映画を見ているのだろうか。
そわそわしながら彼を盗み見る。

こちらをウットリとした目で見ている御狐神くんと、視線が交わった。

「……何故映画を見ていない」

「映画をご覧になっている凜々蝶さまをつい夢中になって見ておりました」

「いや、そうじゃないだろ…………いや、もういいや…」


続く
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