夢小説 26
□自販機
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《自販機》
現代パロ。原田×主人公。恋人設定。
「寒いなぁ」
誰に言うでもなく、ポツリ呟く。
冷たい風が頬にささって、痛い。
寒さに、つい身体が強張って、120円で買える温もりが恋しくなり、自販機の前に立つ。
あったかいミルクティ、これにしよっと。
思いながら、自販機にお金を入れようとした時、急に後ろから抱きしめられた。
「キャッ!」
驚いて声を上げると、
『驚かせちまって、わるかったな。俺だよ』
と、後ろから聞き慣れた恋人の声。
「原田さん」
振り返り言った。
『飲み物、買うとこだったのか?』
「はい。寒くて、暖かいものが恋しくて」
『なら、もういらねぇよな』
「え?」
『だってよ、今はこうして俺がいるじゃねぇか。飲み物で暖まる必要なんざ、ねぇだろ。な?』
「はい。でも…」
『ん?でも…、なんだ?』
「ここ、外ですし、人の視線が…」
そうなんです。
原田さんの勢いに押され、忘れそうになってしまいましたが、ここは外で、通りすがりの人達の視線が痛いのです。
『他人の視線より、お前を暖める方が大事だからな』
言うと原田さんは、私を更に強く抱きしめた。
終り。