夢小説 25

□「背負うもの」
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《背負うもの》
屯所にて。土方×主人公。恋仲設定。




「お茶、こちらに置いておきますね」

山積みにされた書面の邪魔にならぬよう、申し訳程度に空いている場所に、そっとお茶を置く。

『ああ、すまねぇな』

言うものの、当の土方さんは書面を睨み付けたまま。


最近の土方さんは、以前にも増して、眉間に皺を寄せているように見える。
だからこそ、心配で堪らない。


口には出さないものの、土方さんは沢山の事を背負いこんでいるから。
副長という立場の責任、そして義務。
他にも、他人からはわからない余分な苦労迄背負いこんでしまう。
土方さんは、そんな人だ。
根っからの苦労人ではないかと、気苦労が絶えない人だと思う。
だからこそ、少しでも土方さんの力になりたい。
そんなふうに思ってみても、私程度では、土方さんの力になんてなれやしない。
わかってはいるけれど、それでもやっぱり、一人で何もかも抱え込まないで欲しいと思う。
何も出来ない私だけれど、話を聞く事くらいなら出来るから。


ねぇ、土方さん。
貴方が背負いこんでいる沢山のものを、時には私にわけて下さい。
背負いこんだものを時には降ろして、私と一緒にお茶でも飲みませんか?
背負いこんだものを二人で分ければ、今よりは身体が軽くなるはずです。
貴方の性分上、仕方ないかもしれないですが、 少しでもいいから、貴方の背負いこんだものをどんな形でもいいから、分けて欲しいと思うのです。



終り。

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