夢小説 16

□静かな寝息
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親戚の一君を預かったのは母なのに、急な用事が出来て、結局私が 一君の面倒を見る事に。


久しぶりに見る 一君。
前に会ったのは一年前で、一君は四歳。
子供の成長って、早いなぁ。
一年で、随分お兄さんになった感じ。
五歳のわりに、しっかりしすぎてるくらい。


持ってきたオモチャで、一人静かに遊ぶ一君。
一緒に遊んであげないと…なんて思っていた私だったけど、一人静かに遊ぶ一君を見て、密かに拍子抜け。

自分の事は自分で出来るし、手がかからない。


子供慣れしていない私にとっては ありがたいけど、子供らしさが足りないよね。
遠慮してるのかな。
だったら、可哀想。
子供なんだから、遠慮なんて考えずに、もっとノビノビとしてくれて構わないのに。


思いながら、ミニカーで遊ぶ一君に声をかける。

「ねぇ 一君。晩御飯、何が食べたい?一君が食べたいのを作るから、遠慮なく言ってね」

『好き嫌いはないので、何でも大丈夫です』

「何でもじゃなくて、一君が食べたいの、教えて?」

言うと、一君はちょっと考えてから

『では、オムライスが食べたいです』

遠慮がちに言った。

「わかった、オムライスね。じゃあオムライスは作るとして、他には何かある?サラダとか、食べる?」

『いえ、オムライスだけで。でも、あの…』

何か言いたそう。

「いいんだよ。遠慮しないで、何でも言って」

『あの…オムライスに…旗を』

小さな声で恥ずかしそうに言う、一君。


オムライスに旗!
可愛い!


一君が遠慮しないで言ってくれたのが嬉しい。

「わかった。オムライスに旗ね。張り切って作るから、楽しみにしてて!」

『はい』

ニッコリして、嬉しそうに言う一君があまりにも可愛くて、

「一君、可愛い!」

そう言って、思わず私は ギュッと一君を抱きしめた。


***


私が作ったオムライスを美味しそうに、残さず食べてくれた一君。
オムライスにさした旗を、嬉しそうに眺めていた一君。

最初は、手のかからない大人びた、子供らしさが足りないって思っていたけど、三時間・四時間と時間が経過していく毎に、一君も私に慣れてきたのか、緊張が解れてきたのか、少しずつ子供らしさも垣間見れて。


でも、遠慮や緊張が完全に無くなったわけじゃないんだよね。


『おやすみなさい』

そう言って、一君は布団に入る。
私の部屋。
私のベッドの横に布団を敷き、その布団で寝る一君。
一君は寝る時間でも、私にとったら、寝るにはまだ早い。
でも、一君が寝つく迄は、私もベッドで寝たふり、寝たふり。
だけど、いつまでもたっても寝る気配がない。
何度も寝返りをうつ、一君。

「一君、眠れない?」

小さめの声で聞くと、一君も小さな声で

『はい』

と、返事が返ってきた。

いくら手がかからない・大人びていると言えども、やっぱり五歳。

お家やママが恋しいのかも、しれない。
布団を敷いている時、「一君、一緒に寝よっか」 と一君に聞いたけど、返ってきた言葉は『大丈夫です』だった。
私は その言葉を鵜呑みにしてしまったけど、本当は一人でお布団は寂しいのかも。


「ねぇ、一君。私がね、一人だと寂しくて眠れないの。だから、悪いんだけど、一君 私と一緒に寝てくれない?ね、お願い」

そう言うと、一君は恥ずかしそうに

『はい』

と返事をしてから、私の布団に 潜り込んできた。
遠慮がちに。
布団に入っても、私から微妙に離れている一君に、私は自分から くっついていき、一君を抱きしめる。


暖かい。
子供は体温が高いって、本当なんだなぁ。
こんなに暖かくて、しかも柔らかい。
なんだか私が安心して、眠くなってきちゃう…。


そんな事を、眠い頭でぼんやりと思っていると、すぅすぅと聞こえる、一君の可愛らしい寝息。


あ、寝られたのね。


思いつつ、私もゆっくり瞼を閉じた。


―終り―


【後書き】
相互でお世話になっている、みか様のサイトで、子供の沖田さんと斎藤さんのお話を読んだところ、斎藤さんの子供バージョンが可愛くて可愛くて(>∀<)
その勢いで このお話を書きました。

最後迄読んでいただき、ありがとうございました。

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