ぶっく
□Chapitre.0 始まる物語(クロニクル)
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とある世界、筒の中。
隔たれた硝子の奥にいる
最愛の人。
こんなにも
近くにいるのに、
どれだけ硝子を叩いても
どれだけ叫んでも
目の前にいる最愛の人に
触れることは
出来ない。
溢れ落ちる涙。
ふと背中に感じる違和感。
わたしの背中から
羽根が生えてきて
わたしを異世界へ
連れていこうとする。
離れなくないのに…!
必死で硝子に
捕まろうとするけど
抵抗もむなしく、
ガラスに合わせた手が
離れてしまった。
「さくら━━!!!」
聞こえる愛しい人の声。
遠ざかる愛しい人の声。
これは、
羽根を廻る
壮絶なクロニクルである…