黒子のバスケ 夢小説
□どこにいても
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「うぅ・・・さっむ」
私は白いため息をつく。
今日は12月20日。私の誕生日であり大切な人の誕生日だ。
先ほど部活で黒子くんたちに祝ってもらってから、
私はマフラーを買うために街に出ていた。
「今年も、やっぱ寒いね・・・」
私は少しかじかんだ指先に息を吹きかける。
指先は温かくなったが、すぐにまた冷やされる。
「・・・プレゼント、ついでに探しちゃおう」
どうせ家に帰っても一人暮らしだし、と私は頷いた。
〜♪、〜♪
「?」
ふいにケータイが鳴り、私は電話に出る。
「もしもし?」
<――もしもし、瑞紀?>
「!」
電話の向こうの声に、私は頬を緩ませる。
<そっちは寒いかい?>
「うん・・・少しね」
他愛もない会話。
いつおめでとうって言おう・・・
「・・・本当に少しかい?」
「!」
ふいに耳元で囁かれた声に私は振り返る。
そこには、ここにはいるはずのない大切な人。
「せ・・・征くん?」
「久しぶり、瑞紀」
「ど、どうしてここに・・・?」
私の言葉に、「そんなの決まってるじゃないか」と征くんが笑う。
「君と一緒にいたかったからさ」
「・・・っ//」
わざわざ京都から来てくれるなんて・・・
私は恥ずかしくて俯く。
フワッ
「え・・・?」
首に感じる暖かさに私は驚く。
首には、私がほしかったマフラー。
「・・・征くん、何でわかるの」
「ん?瑞紀の欲しいものくらいはわかるさ」
「私・・・これからプレゼント買おうと思ってたのに」
私が言うと、征くんは「いや・・・いいよ」と微笑む。
「君が一緒にいてくれるだけで、僕は嬉しいよ」
「・・・っ//」
そう言って抱きしめてくるあなたに、私は敵いません。
「征くん、誕生日おめでとう」
「おめでとう、瑞紀」
END