沖田総司

□襟巻き
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私はいつものように
洗濯をしているところです。



平助くんの、

土方さんの、

沖田さんの、

斎藤さ「よいしょっと..」んの?

「おお沖田さん!!!!それは斎藤さんの...」


「分かってるよ、そんなの。」



沖田さんはにこにこしながら斎藤さんの襟巻きを巻いて見せる。
「どう?似合うかなぁ?」


「沖田さんそれはまだ...」


「うあっ.....。奈桜ちゃん。僕が巻く前にこう言う事は教えてくれなきゃ...」


沖田さんの首から下が水で濡れている...。
まだ絞っていない斎藤さんの襟巻き。


「ああ、そうだな。人の襟巻きを巻くときは事前に本人に報告するものではないのか総司。」


「あ、一君の襟巻きのせいで僕がびしょ濡れじゃないか。一くんどうしてくれるの?」


「それは俺のだ。返せ。」

ぐいっぐいぐいーーー

「く、苦しいよ。一君、」

ぐいぐいぐい


「ならば外せ。」


「しょうがないなぁ〜。でもこれ、まだ奈桜ちゃんが洗濯してる途中のものだから奈桜ちゃんに返すね」


私は苦笑いをしながら受けとった。


「そういえば一君って襟巻き何枚持ってるんだろうね〜奈桜ちゃん。」



「そうですね。私もよく分かりません。でも洗い替えとかもありますし...3枚以上位でしょうか?」


「ねえ、そうなの?一君。」


「ああ。5枚程度だろうか。」


あっ!そういえば畳んでおいた襟巻きあったんだっけ。


「なんで一君って毎日襟巻き巻いてるの?」


「それは、だな。」


「...................。」


「............。」


「いいよ。一君。僕達に話せないなら別にそんなどうでもいい話を頬を赤らめてまで頑張って無理に言おうとしなくても。」


斎藤さんどうして頬真っ赤なんだろう?


「そ、そうか?別に話せない訳でもないんだが...それより、総司、副長が呼んでいる。」


「えー、あの人の所になんで行かなきゃいけないのさー。いやだよ。」


ふわっ

ん?なんだ?
これは斎藤さんの襟巻き?


「僕と奈桜ちゃん一緒に巻いたら暖かいし離れられない。一君、奈桜ちゃんも連れていっていいでしょ?」


斎藤さんは一瞬目を見開いたがすぐにいつもの冷静さをとりもどす。


「副長がお呼びだ速く行け。」


斎藤さんが沖田さんを押すから私も自然についていくことになる。


「俺は巡察に行ってくる。」






斎藤さんが見えなくなった。



「さあ、邪魔物はいなくなったし....」


「沖田さん?」



「この襟巻きは僕たち二人の物だ。この先たとえどんなことがあってもこの襟巻きは外れない。僕たちは永遠に一緒なんだよ。」


永遠に――――――――



一緒?


沖田さん。それは


本当の事ですか?




嘘偽りのない誠の事なのでしょうか。



沖田さんは離れていくんじゃないのでしょうか。




「一君の襟巻き....やっぱりムード崩れちゃうみたい。さっきの台詞も一君の襟巻きのせいであんま...り...って奈桜ちゃん?なんで泣いてるの?」




気付いたら私の目から涙が溢れていて―――――



沖田さんがもしいなくなってしまったことを考えると溢れて止まらなくて。


止められなくて―――――



すると沖田さんが優しく私の涙を拭ってくれた。


「約束するよ。たとえどんなことがあっても僕の心は永遠に君のものだ。」




「沖田さんは私がどんなによぼよぼなおばあちゃんになっても、私と一緒にいてくれますか?」
涙でぐちゃぐちゃの私を見ながら沖田さんはくすっと笑って言う。


「当然だよ。僕は君の外見も勿論大好きだけど何よりも君の存在が一番大切なんだから。」





私の存在―――――――



「私の存在に....?」



「そう。」



私だって....。


「私だって沖田さんが私を思ってくれている事よりももっと沖田さんの存在が誰よりも大切です」


沖田さんは優しく笑ってくれた。









たとえ―――――――


どんなことがあっても



私の心も



永遠に



あなたのものです―――――
 

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