東方の物語
□空楼の夢
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秋の夕方ぐらいなのだろうか、ひぐらしが鳴いている。
僕が再び目を明けると、男の人がいた。
その男の人は何かを言っていたが、僕にはよく分からなかった。
そして、その男の人の両手は血で濡れていた。
そして、少しずつ思い出してきた。
人気が多いとも、少ないともいえない、この道を僕と―――で歩いていた。すると、この男が襲ってきたんだった。そして、眼が合った瞬間 「死ね」 と言われ、戸惑っている中、僕の幼馴染は殺された。
人の死を見るのは初めてで、僕は怖くなった。だけど、それ以上に怒りが勝っていた。
「どうして……どうしてこんなことを……っ」
血で染まった少女を少年は見ていた。
眼前に倒れ、絶命している少女は――この男が手をかけたのは。
今頃、周りの大人たちが、騒ぎ始めたようだ。警察。救急車。幼い子が。そんな言葉ばっかりだった。
この少女はかつて守ると誓った大切な幼馴染だった。
そして、いまさら警察がやってきたが、その警察……10人ぐらいだろうか、その人たちも即座に全員殺された。この男の手によって。
そして、僕の好きだった―――を殺した、その男が喋ってきた。
―――人の心には必ず闇がある。どんな聖人にも闇がある。
「だから……どうした」
―――お前にも闇がある。
「……僕の大切な人を奪って…何がいいたんだよ・・・ッ!」
―――闇に堕ちよ
と、その男が絵の具より黒い。いやそれよりも黒い塊を出した。その塊を俺の胸に当てて、少しばかり微笑んだ。
「あっ……ぐぁあっ……あああぁぁあっ!」
その塊が心臓の部分に達する(自己判断だが)と、心臓が暴れ周り、今にも狂いそうになった。思うことは、痛い。死にそうだ。この二つしか思いつかなかった。
僕は、この男に塊を押し付けられて、2つの思いが芽生えた。
一つは、死にたい。死ねば、また―――に天国・・・だったかな。で、会えるから。
もう一つは、死にたくない。この男に復讐をして、―――の仇をとりたい。
そう思ってた最中、また喋ってきた。
―――闇を受け入れよ。そして全てを……―――
と、その男が言った瞬間、突然痛みがなくなった。
「え……っ!」
が、最後に
―――だが、お前はこのことを忘れる。まだ思い出してはいけないように、力が満ちたときに思い出すように、魔術をかけてやろう。
「……さっきから、一人でブツブツと・・・僕の―――をかえせ!」
―――そして、お前がこれを思いだしたときは……俺を、殺してくれ。
男は、いつの間にか消えていて、頭が消えたと認識した瞬間。
そこで、僕の意識は途切れた。