東方の物語

□雨の降る夜に
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最近、よく小説で、男と女が出会うときには何かしらの事件があるらしい。たとえば空から女の子が降ってくるとか、誰かと会わせられたなど、理由はいろいろあるらしい。そんな小説なような感じが起こってほしい。と思ったことは誰にでもあると思う。だが、

渚「・・・・・・」

「・・・・・・」

この少女は渚。僕の義妹である。しかし、もう何年も会っていなかったのである。

渚「え・・・っと」

状況を整理しよう。たしか歩いていると突然にどこか異次元に飛ばされたような気がして、知らないところに着き、さらに何年も会っていない義妹と出会ったときの気まずさは・・・

渚「にい・・・さん?」

異常なくらいヤバイ。

「あ・・・あぁ、えっと・・・渚・・・か?」

だが、ありえないはずなのである。僕の義妹は覚えてないが、行方不明になったはずなのだ。だがなぜ

渚「えっと・・・降りてもらってもいい?」

こうやって体同士をくっつけあった状態で倒れているのか。

渚「兄さん・・・聞こえてる?」

「え?」

渚「えっと・・・恥ずかしいんだけど・・・」

「?」

渚が赤面しているが、この体勢だからか?なら降りよう。と思い、手を開き、立とうとしたが

渚「んっ・・・あぁっ」

「?」

急に艶のある声を出してきた、なぜだ?

渚「兄さん・・・手・・・」

「あ! ごっ! ごめん!」

そう、僕の手はきれいに渚の胸にフィットしていたらしい。だから赤面していたのだろう。理解・・・じゃないな、アレだろう。

渚「ん・・・別にいいよ」

「わっ、悪い」

渚「だから、いいって」

・・・無限ループっぽいから話を変えよう

「なぜこんなところに渚はいるんだ?ここはどこだ?」

渚「えっと・・・分からないの。家を出たら急にクラッっときて倒れこんで、目が覚めたら兄さんが乗ってたの」

「はぁ? あのころって何年も前だぞ? なのに目が覚めたらここだ?」

渚「そうなの?私、何年もここで寝てたっていうことなのかな・・・?」

・・・うん、話がまったく噛み合ってないようだな。そんな気がする。

「まぁ、知らんけどな」

渚「たしかに兄さんもずいぶん・・・かっこよくなったね。背も大きくなったように見えるし」

「そういうお前こそ、立派に成長したな」

渚「なんで体を見ていうのかなぁ?」

「みっ! 見てない!」

渚「あはは、兄さん顔真っ赤だよ〜」

「くっ、お前〜!」

からかってるのか?

渚「あはは!」

「まぁ、そんな久しぶりな兄妹の話はもうやめてここからどうするか。っていう問題を考えなくては・・・」

渚「まぁ・・・そうね」

「とりあえず、あっちに行ってみるか」

渚「待って、そのポケットに入ってるもの何?」

「ん?え〜っと。・・・なんだこれ?なんかのカードか?」

渚「私に言われても困るよ〜」

使えない義妹め。

渚「なんか失礼なこと考えなかった?」

「気のせいだ。それより、お前もそのポケットの中に何か入ってるぞ」

渚「え?・・・・・・あ、本当だ。何これ?」

「知らんわい」

渚「SPELL CARD ・・・魔法のカード?」

「なんかあったな。『俺のターン、ドロー』――」

渚「私知らないんだけど・・・」

「む、そうか。たしかに」

このアニメはこいつが失踪した後に放送したヤツだからな。理解。

渚「何これ・・・蝕星「アイテールの憎悪」?」

「神様の名前が入ってるカードなんだなぁ・・・僕のも厨2病みたいなやつなのか?」

嫌だなぁ・・・なんか痛々しい。特に妹が持っていると、義兄としては、ちょっと・・・ね。

渚「すっごく失礼なことをさらっと言うね。ついでにちょっと失礼なことも考えてるし・・・って厨2病って何?」

「渚にはまだちょっと速いな」

説明メンドクサイから却下だ! と心で叫んでおく。

「えっと、僕のは・・・「スペルブレイカー」・・・か」

なんだこれ? アニメとか小説であるソードブレイカーみたいなものか?

「・・・解せぬ」

渚「兄さんの名前なんだった?」

「スペルブレイカー」

渚「・・・。さて、これはとりあえず持っておいて。えっと・・・どっちに出発すればいいのかな・・・」

「・・・無視か」

渚「だって分からないもんっ」

と言って頬を膨らませる渚。その頬を膨らませた渚にちょっと可愛いと思ったが、義妹にそんな感情を持ったらダメだと自分に言い聞かせる。

「・・・その顔はやめろ」

低い声で言う。

渚「ぷぅ〜」

さらに可愛い顔で頬を膨らましてくる。なぜこいつはやめないのだ?
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