小説(めだか)
□その事実が悲しいだなんて
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僕は自分の『異常』が嫌いだ。
「おーど」
「何だ行橋」
王土は僕を見ている。
僕のことを見ている。
「王土は僕のことどう思ってるの?」
「お前の『異常』で読んでみたらどうだ?」
王土は僕の頬に触れる。
僕のことを触っている。
「ちゃんと言葉で言ってみてよ」
「言葉で、か」
王土は僕と話している。
僕のことを、考えていない。
「そうだな、お前の事は大切だと思っているぞ」
嘘ばっかり。
ならどうして僕のことを考えてくれないの?
そんな言葉ばっかりが浮かんできて。
また僕は自分の『異常』が嫌いになった。
End.
心が読めるアブノーマルなんて悲しいだけだと思う