お礼小説+

□雨のち晴れ
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ザァーザァー、

家の窓から外を眺めるとどしゃ降りの雨です。

なんか嫌な天気・・・

僕はそう思いながらも、傘を手にとって玄関を出ました。

「いってきます」

ここから学校へは約30分かかります。

僕は空を見上げ、ため息を吐くと歩き始めました。






校門に着くと、見慣れた背中がありました。

僕はその人に気付かれないように通りすぎようとしました。

「おい、雅。元カレの顔も見忘れたかぁ?」

『い、いえ。誰か待っているかと思ったので・・・』

でも、気付かれないわけもなく、その人はすたすたとこちらに寄ってきました。

僕の名前は佐野雅(サノミヤビ)です。

僕の元へと足を向けるのは、昔付き合っていた信田魁(シノダカイ)です。

昔、と言うように今は付き合っていません。

それは彼がよく浮気をしたのが原因です。

惚れやすい人と言うべきでしょうか。

「おい、聞いてたか?」

あ、ぼーっとしていました。

『すみません・・・ぼーっとしていて』

僕が謝ると、魁さんはひらひらと手を降りました。

「雅、」

魁さんが上から見下ろすようにして僕を呼びます。

『はい。』

なんでしょう。

「俺と付き合え」

・・・・・・・・・・・・はい?

『魁さん、今なんて、、』

僕の耳がおかしくなければ、魁さんは僕に付き合え、と言ったように聞こえました。

「チッ、だから俺と付き合え」

魁さん・・・

僕は答えを直ぐに出せませんでした。

浮気ばっかりの人だからまた浮気するんだろうなー、と思いながらもはっきりと断ることが出来ないのです。

『僕・・は、』

震える唇で言った言葉は酷く震えていました。

下を向いて黙ってしまった僕の頭に魁さんは手をやると、がしがしと回しました。

「今は聞かないでやる。どうせ俺に堕ちるからな。」

相変わらず魁さんの自信は凄いです。

僕はゆっくりと魁さんを見上げました。

バチリ、

思いっきり合った瞳が真剣で、僕は少しだけ驚きました。

「もうお前だけにした。本気・・・だからな。必ず俺のモノにしてやる」

にやりと不敵な笑みと共に言った言葉は、僕の中にすーっと入ってきました。

魁さんは言いたいことだけ言うと、すたすたと学校へ入っていきました。


僕は・・・どうすれば、

僕は戸惑いながらも校門に足を向けました。

まさかこんな事になるなんて、、と思いながら。



魁さんの告白に、僕の心は大荒れの模様です。
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