【リクエスト】
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真夜中、終りの見えないデスクワークを諦める。続きは明日でいいだろう。俺は重い身体で寝支度を整え、憂鬱な気持ちと共に蒲団に入ろうとしていた。
不意に襖の向こう側、人の気配を感じて。
誰だろう、こんな時間に。
「おい、誰かいんのか」
真夜中の屯所。極力声が響かぬよう声を掛けた。
「土方さん」
返ってきたのは総悟の声で。
「総悟?」
こんな時間に珍しい。何事かと思い、
「どうした」
俺は襖に手を掛けるも、
「!?」
・・・開かない。
どういう訳か、奴は外側から俺を閉じ込めているようで。相変わらず奴の奇行は理解し難い。
「おい、総悟。開けろ」
「・・・・・・」
今から寝ようとしている人間を閉じ込めた所で何になる。何の不都合も無い俺は、
「用が無いなら戻れ。俺ぁ寝るぞ」
言いながら襖から離れた。
明日も仕事だ。奴の気紛れに付き合っている暇は無い。
すると、
「土方さん」
奴は再び声を掛けてくるものだから、
「だから何だよ!」
少し苛立つ俺とは対照的に奴の声は妙に落ち着いていた。