□最後の夏
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「トシ、総悟、次の授業プールだぜ」

近藤さんに呼ばれ、俺たちは更衣室へと足を運ぶ。更衣室に入ると各自それぞれ適当に空いているロッカーを探した。更衣室のロッカーは嫌いだ。そもそもプールの更衣室自体好きにじゃない。あの独特な匂い。床は所々濡れており、あまつさえロッカーの中まで濡れている始末だ。決して清潔とは言えないロッカー。俺は扉を開けては、『・・・汚い』そう思い、濡れていないきれいなロッカーを探す。

「何やってんだよ、トシ。さっさと着替えろよ」

近藤さんと総悟は既に着替え始めている。

「あぁ」

俺は二人が使用しているロッカーを1つ挟んだ所で着替え始めた。

「あーあ、何でプールの授業、女子と別々なんだよ。交代制って何。せめて女子の後に入りてぇな。お妙さんの水着姿見てぇよ。お妙さんが入ったあとのプールに浸かりてぇよ。なぁ、トシ?・・・ってお前に言っても無駄か。お前そういう話、絶対乗ってくれねぇもんな。なぁ、総悟。あれ、総悟?あいつ、どこ行った?」

ロッカー越しに近藤さんの変態的発言を聞きながら、黙って着替える。そして、いつの間にか傍らに立つ存在に俺は思わず驚いた。

「おわっ!なんだよ、総悟」

先程まで近藤さんの隣で着替えていた奴は、既に着替えを済ませ俺の横に立っている。

「あれ。総悟、トシの所にいんのか?俺着替え終わったから先行くぞ」

近藤さんが呼びかける。

「へぃ」

奴は一言だけ返すと俺をじーっと見つめている。

 
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