弐.
□サキュバス
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時刻は深夜零時を回った所。蒲団を敷き終え寝支度をしていた野郎に、俺は不意打ちのキスをお見舞した。
しかしそれは只のキスじゃない。
小さな粒状の薬。俺はソレを口にくわえると、土方さんに無理矢理口付ける。
「ん・・・!?ぐっ・・・う、」
突然の出来事に目を白黒させる野郎。構わずその薬を野郎の口内へ押し込み、ゴックンするまで鼻と口を塞いでやれば、
ゴックン!
野郎は苦しそうにソレを飲み込んだ。
「てめっ、今何飲ませた!」
「何って、ただの精力剤。あんた、すぐにバテるから」
俺の言っている事は本当で。其処らのドラッグストアでも売っている普通の精力剤だ。
「そんな警戒しなさんな、今回ばかりは本当ですぜ。効果は分かりやせんが、今晩ちゃんと俺とのセックスについて来れるよう買ってきたんでさァ」
そう言って俺は手にしていたもう一粒を今度は自分の口に放り込んだ。
「・・・ったく大きなお世話だよ、この馬鹿。っつーか、てめぇまで飲む必要無ぇだろ。寧ろ精力減退するモンでも飲みやがれ」
「そんなのあるの?じゃあ、あんたが見つけて買ってきなせぇ」
やれやれ、といった様子で自分の頭をくしゃくしゃと掻き毟る野郎。『そんなにヤリてぇの?』なんて暢気な事を言っている。