弐.

□淫らになった土方さんの話
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「ふざけんなぁぁぁァァ!!!」

野郎の部屋に怒号が響く。しかしその顔は青ざめていて。


「いいじゃん、今日あんた非番だし」

「そういう問題じゃねぇよ!!」


今し方、野郎に盛った薬。ものの数分で効果が現れる、らしい。俺も使ったことが無いからよく分かんねぇけど。

しかし、この後の展開は容易に予想できる。




「総悟、・・・ヤりたい」

昼間から珍しく積極的な野郎。早速薬が効き始めたらしい。

しかし俺は、

「あんたは非番でいいけど、俺はまだ仕事中ですぜ」

一度は拒否をする。それも一興。

すると野郎は、

「駄目だ、我慢出来ねぇ」

上気した顔で俺を押し倒すものだから、

「あーあ、副長ともあろう人が部下の仕事を邪魔してまでセックスしようとするなんて」

わざと意地悪な言葉を吐けば、

「・・・っ!」

あんたはきっと我に返るだろう。そして俺の上に跨がったまま、唇を噛み締め、必死に理性を働かせている。

しかし薬の効果は覿面で。身体は既に限界。それでも欲に抗おうとするあんたの姿は俺を煽る。

でも俺からは何もしてやんねぇよ。ただ黙って野郎を見上げるだけ。

だって俺は仕事中だもん。仕事中にセックスなんざ言語道断でィ、とか言ってみる。本当はやる気満々だけど。


すると、

「そうご・・・」

野郎は切なげに眉を寄せ、疼く身体を震わせる。しかし俺は決して手を出さない。

俺が欲しいのは、『仕事中の恋人を無理矢理セックスに誘うあんたの姿』だから。そう、平生の野郎では考えられない。


俺の性器は既に熱を持ち、ズボンの中で窮屈そうだ。でも我慢。野郎から仕掛けてくるまでの辛抱だ。

我慢、我慢・・・。
我慢、我慢・・・。

暫くすると、

「・・・我慢出来ねぇ」

野郎は低く呟き、俺の上着に手を掛ける。そして昼間から始まる俺と野郎の激しい情事。


終わった後、俺はあんたに言ってやる。

「あんたが誘ってきた所為で仕事が出来なかった」

って。


あんたはそれに対してどうするだろう。


無言で背を向け自己嫌悪?


それとも、

「てめぇの所為だろうが!」

って、俺に責任転嫁?


もし、薬の効き目が続いているなら、

「すげぇ興奮した」

そんな言葉だって聞けるかもしれない。




と、まぁ、俺の筋書きではこうなるハズだった。ハズだったのに・・・。
 
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