五
□冬の日
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ある冬の日、土方さんの部屋のコタツで二人まったり。その度に思い出すのは去年の冬。あれは付き合って間も無い頃、その日も俺たちは土方さんの部屋でコタツに入って。
・・・俺は嫌がる野郎に無理矢理キスをした。
でも、あれは本当の無理矢理じゃない。
顔を真っ赤にしながら『やめろ 』と言うあんた。
俺は両腕を掴んで、
「何で?俺たち恋人同士じゃん。したい、ってゆーかする」
真っ直ぐに伝えれば、
「ぐっ・・・」
と、言葉を無くしてたじろぐ恋人。
「土方さん、顔上げて」
俺は声を掛けるが、両腕を掴まれ最後の足掻きのつもりだろうか。野郎は俺の顔を見ようとしない。
「土方さん!」
もう一度名前を呼べば、
「っ・・・」
ゆっくりと上げたその顔は俺を睨み、そして真っ赤に染まっていた。
「何でキスするのに睨まれなきゃならねぇんでィ」
言葉とは裏腹にその反抗的な瞳に煽られて。ゆっくりと顔を近付ければあんたはキュッと目を瞑る。先程まで睨んでいたのが嘘のよう。そんな恋人を心の中で可愛いと思いながら俺は触れるだけのキスをした。
これが初めてのキス。俺もあんたも初めて他人の唇に触れた。
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