壱.
□我慢しない
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「なぁ」
「ん、なに」
背を向け寝る総悟を後ろから抱き締める。首筋にキスを落とし、足を絡ませた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
抱き締めた片方の手で奴の着物を割り、中心を弄る。まだ柔らかい奴のソレ。やわやわと握りながら、己の硬くなった性器を着物越しに後ろから宛てがえば、奴の性器は少しだけ芯を持つ。
着物から一度手を抜き、今度は下着の中へ。途端、その手を掴まれる。
「何、ちゃんと言いなせぇ」
分かってるくせに。そこを奴は敢えて聞いてくる。俺の口から聞きたいがために。
「ヤリてぇ」
「素直。めずらし」
別に珍しくねぇ。俺にだって性欲はある。奥底で小さく燃ゆる。放っておけば大概収まるものの、そうはいかない時だってある。
当たり前だが、総悟だって毎晩求めてくる訳じゃねぇ。年中発情期だと揶揄するものの、『おやすみ』のキスを落とせば満足そうな表情で、眠りに落ちる。
そんなお互いのバイオリズム。昂る気持ちが合致した日には激しい情事に耽ることも度々。合致しない時、それはまさに今であって、
『ヤリてぇ』
今更、そんな言葉を憚る間柄でもなく。俺は掴まれた腕を気にすることなく、奴の下着の中へと手を潜らせた。
一度火が点いた身体。欲を吐き出すまでは消えそうにない。
今日は我慢しない。俺は少し硬くなった奴の性器を愛撫する。
「あらら、積極的」
奴は相変わらず背を向けたままで、
「そんなにヤリてぇなら、その気にさせてくだせぇ」
平然と言ってのける。
嘘ついてんじゃねーよ。てめぇだって、もうヤル気満々じゃねぇか。
後ろ姿の総悟の項に舌を這わし、そのまま耳の後ろまで舐め上げた。耳朶を甘噛み、ピチャピチャと音を立て耳介を執拗に舐める。
下着の中では、奴の性器を愛撫しながら、
「もう勃ってんじゃねーか」
奴の耳元で囁いた。