□その日、その時
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原因は思い出せない程、些細な事だったと思う。


「死ね、土方」

「てめぇが死ね」


いつものやり取り。奴はそう言って部屋を出ていくはずなのに、その日はやけに突っ掛かってきた。


「ねぇ」

「なんだよっ」

「納得いかねぇ」

「るせーな、後にしろ」


苛々が募り、俺は煙草を手に取る。奴はそれを掠め取ると、


「今」


そう言って煙草を握り潰した。

はぁ・・・、俺は溜め息をつきながら、


「いい加減にしろ。たまの休みなんだ。放っとけ」

「休みだから時間あるでしょうが。放っとかねぇ」


話がどんどん拗れていく。俺ら何でこんな喧嘩してんだ?お互いに頑として譲らない。それは平行線をたどるばかりで。

思わず吐いた言葉。


「はぁ、てめぇにゃウンザリだ」


一瞬、奴の顔が歪む。それ以上何も返してこない。すぐに悟った。『傷付けた』と。

暫くすると、奴は黙って立ち上がり俺の部屋をあとにした。

チッ、俺は小さく舌打ちする。あぁ、くそ。


まぁいい。後でいい。普段の喧嘩に少し輪を掛けたようなもんだ。

思いながら、煙草を吹かす。

  
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