□同窓会
1ページ/6ページ


ある仕事の件で沖田隊長の部屋へ向かう。

「失礼します」

「おう」

そこには珍しく机に向かって、書き物をしている隊長がいた。


「珍しいですね、隊長が書き物なんて」

「高校の同窓会の案内状が来たんでィ。それの返信」


ふと机に目を落とすと、『欠席』に○印を付けたハガキ。

「欠席・・・ですか?」

「おぅ、別に行く必要ねーだろ」


ふーん、そんなものだろうか。俺だったら、行きたいのにな。まぁ、この人らしいっちゃあ、らしいけど・・・・・・って、

ん?

ちょっと待って?

そのハガキ、『山崎様』って書いてね?

俺のじゃね?


「ちょっとぉぉぉ!それ、俺宛てじゃないですか!あんた、何勝手に欠席にしてんのぉ!?」

「何でィ、せっかく人が親切にしてやってんのに」

「どこがぁ!?どこが親切?俺、行きますよ!同窓会、出席しますってば!」


俺は隊長からハガキを取り上げた。

・・・この人、何やってんだよ。勝手に欠席にした上、『出席』の文字が黒く塗り潰されている。インク裏までガッツリ染みてるし。普通二本線引くだけでしょ?こえーよ、こんな返信。俺、人格疑われるよ。

俺は泣く泣く、黒く塗り潰された場所の隣に、自分で『出席』と書き、○印を付けた。勿論、『欠席』の文字には、二本線を引いた。


俺だって、地味なりに青春謳歌してきたんだ。なのに隊長ときたら、『友達いないお前が傷付かないように、こっそり返信してやるつもりだったのに』ときた。

俺だって、友達の一人や二人くらいいるよ。あぁ、出される前に気付いてよかった・・・。

 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ