弐
□同窓会
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ある仕事の件で沖田隊長の部屋へ向かう。
「失礼します」
「おう」
そこには珍しく机に向かって、書き物をしている隊長がいた。
「珍しいですね、隊長が書き物なんて」
「高校の同窓会の案内状が来たんでィ。それの返信」
ふと机に目を落とすと、『欠席』に○印を付けたハガキ。
「欠席・・・ですか?」
「おぅ、別に行く必要ねーだろ」
ふーん、そんなものだろうか。俺だったら、行きたいのにな。まぁ、この人らしいっちゃあ、らしいけど・・・・・・って、
ん?
ちょっと待って?
そのハガキ、『山崎様』って書いてね?
俺のじゃね?
「ちょっとぉぉぉ!それ、俺宛てじゃないですか!あんた、何勝手に欠席にしてんのぉ!?」
「何でィ、せっかく人が親切にしてやってんのに」
「どこがぁ!?どこが親切?俺、行きますよ!同窓会、出席しますってば!」
俺は隊長からハガキを取り上げた。
・・・この人、何やってんだよ。勝手に欠席にした上、『出席』の文字が黒く塗り潰されている。インク裏までガッツリ染みてるし。普通二本線引くだけでしょ?こえーよ、こんな返信。俺、人格疑われるよ。
俺は泣く泣く、黒く塗り潰された場所の隣に、自分で『出席』と書き、○印を付けた。勿論、『欠席』の文字には、二本線を引いた。
俺だって、地味なりに青春謳歌してきたんだ。なのに隊長ときたら、『友達いないお前が傷付かないように、こっそり返信してやるつもりだったのに』ときた。
俺だって、友達の一人や二人くらいいるよ。あぁ、出される前に気付いてよかった・・・。