弐.
□ヤラシイ姿
1ページ/4ページ
「あぁッ・・・っ、そう、ご、・・・ちょ、まて」
「ん、むり」
野郎に覆い被さっては、激しく腰を叩き付けた。その度にあんたは俺の胸を押し遣りながら『待て』を繰り返す。
嫌だね、待たない。
強姦のような少し乱暴なセックス。野郎の性器に触れることはなく、自分本位で腰を振る。
暫くすると、
「ぁ、ぁ・・・んッ、っ」
野郎は言葉を無くして。揺さぶられながら、ただ小さく喘ぐだけ。快楽に溺れ始めた証。
あんたの一番厭らしい姿まであと一歩。
その瞬間を見逃すまいと、余裕を欠きながらも必死に野郎を見詰めれば、
「ぁ、ぁ・・・ッ」
虚ろな瞳が俺を映して、
「ぁ・・・」
だらしなく開かれた口許から、つうと唾液が零れた。
あぁ、堪んねぇ。
いい歳こいた大人が、あの厳格な鬼の副長が。こうして俺の下で喘いでは涎を垂らす。
なんて絶景。
不意に律動を止めれば、
「あ・・・」
己の濡れた口許に気付いたのか、野郎はそれを拭おうとするものだから、
「だめ」
俺は野郎の手首を掴むと、強く布団に縫い留めた。
あんたは何もしなくていい。
その濡れた口許。俺が優しく舌を這わせて舐め取ってあげるから。