弐.

□星
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学校帰り、補習で遅くなった俺たちは肩を並べて歩く。辺りはもう真っ暗で。道沿いの街灯は灯り、空には星が瞬いている。


コンビニで買った肉まんを頬張りながら、

「土方さん、こっち」

俺が指差すのはとある公園。

「は?」

怪訝な表情の野郎に構うことなく、俺は公園へと引きずり込んだ。そう夜の公園。誰もいない公園へと。


野郎は、

「で、なんだよ」

最後の一口を放り込むと、モグモグさせながら訝しげに聞いてくるものだから。

「土方さん・・・」

俺はギュッと抱き締めながら、

「ココでしたい」

更に強く腕を絡めた。



ゴクン・・・。



野郎の喉が鳴ったのは、最後の一口の肉まんの所為か。それとも・・・。

「だめ?」

こういう時に有効なのは『無理矢理』じゃなくて『お願い』。揺れ動く野郎を此方側に誘い込むには一番の手段。それを知っている俺は、

「明日は休みだし」

いいでしょ?言いながら、少し背伸びをすると野郎の首筋に顔を埋めた。



しかし現実は甘くなくて。



「馬鹿野郎」

野郎は俺を引き剥がすと、呆れ顔で俺を見下ろす。チッ、やっぱ駄目か。流石に外でヤるのは少しハードルが高いのかも。いいや、どうせダメ元だったし。

ただ、大人しく引き下がるのは癪で。俺は、ギュッと野郎の中心をスボン越しに握りながら、

「ケチ」

ポツリと呟けば、

「!!!・・・馬鹿かッ」

驚いた野郎は勢いよく俺の手を叩く。


そして、

「ったく・・・何で外でしたいんだよ?」

俺には理解出来ねぇ。


真っ赤な顔して、俺と少し距離を取りながら聞いてきた。

野郎の頭上にランプが見える。それは赤くチカチカ点滅していて。更には『警戒中、警戒中』そんな文字まで浮かんで見えた。

あ、これ、もう絶対ダメな時だ。完全拒否の状態。お手上げの俺は、野郎の質問に答える気など全く無いものだから、

「えー、だって空見てみなせぇ」

「空?」

「星見ながらセックスなんて素敵じゃん」

なんて言ってみたりする。そんな俺はロマンチスト、のフリ。

だって本当の理由を話したところであんたがヤらせてくれるわけじゃない。え、本当の理由?そりゃ、興奮するからに決まってらぁ。いや、実際した訳じゃないから分からないけど。

だからこそしてみたい。好奇心旺盛なお年頃。


だけど、

「馬鹿馬鹿し・・・」

案の定、野郎は俺の言葉を一蹴すると、

「ほら帰るぞ」

スタスタと公園を出て行く。ふん、いつか叶えてやる。星空の下、あんたとセックスしてやるんだ。

野郎の背中を見詰めながら、俺は一人そんな事を考えていた。
 
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