弐.
□着衣
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ある日の晩。
「・・・どした、その格好は」
「へ、何が」
別に大したことでは無い。大したことでは無いのだが、普段袴を身につけている総悟が、今夜は着物で現れた。
「何故、着物?袴は?」
「別に意味無いけど」
風呂上がり、俺は一服しながら書類に目を通す。その隣で蒲団を敷き、いそいそと寝仕度を始める奴の姿は日常化している。
「よいしょ」
奴は敷いた蒲団の上で一人携帯をいじる。これも見慣れた光景だ。
平生の俺なら奴に構わず仕事を進めるだろう。しかし今夜は少し違くて。俺の視線は書類ではなく、奴へと向けられる。その理由は単純なもの。
奴の着物姿が新鮮だから。
方膝を立て、無表情で携帯をさわる。着物から覗く白い太股に目を奪われては、そっと触れたい衝動に駆られた。
不意に奴が此方を向く。と、同時に思わずビクリと肩が跳ねた。
「土方さん、何」
「な、何だよ」
「さっきから何、じっと見てんでィ」
「・・・別に」
「うそだ」
「・・・・・・」
そう言うと、奴は携帯を置き、ジリジリと四つん這いで近付いてくる。その間にも、俺の目が追うのは、割れた着物から覗く奴の腿。
「ねぇ」
言いながら、奴は隣に座る。
「今日のあんた、目がエロい」
「は?」
「俺ぁ見られて感じる性癖は持ってやせんけど、」
俺の手を取り人差し指を口に含んだ。舌を絡ませ、ピチャピチャと音を立てる。まるであの行為を彷彿させるかのように。そしてその濡れた人差し指を口から引き抜くと、着物から覗く奴の内腿にそっと置いた。
「あんたがココばっか見るから、」
奴は俺の人差し指に軽く手を添えたまま、指先をすー・・・っと中心へと滑らせれば、
「目で犯されてるみたいでさ」
既に熱を帯びた中心へと誘導された。
内腿には奴の唾液で濡れた俺の人差し指の跡。卑猥に光る。
奴は見せつけるかのよう、更に少し足を割れば、
「ねぇ、土方さん」
低く囁いた。