壱
□カリスマ
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「ねぇ、近藤さん」
「なんだ?」
「あんた、何であんまり怒んないの?」
炬燵で寛ぐ
近藤さん、
俺、
そして土方さん。
俺は前から不思議だった。
近藤さんがあまり怒らないことを。
野郎はいつもカリカリしてやがるのに。
性格の違いもあるんだろうが、何でこんなに野郎と違うんだろうか。
すると、近藤さんが口を開いた。
「総悟、俺たちの目的は何だ」
「んー・・・江戸を護ることですかィ?」
「そうだ、俺たち真選組はそれを第一に掲げて動いている。
でも、よく考えてみろ。江戸を護ることにゴールはねぇんだよ。
要は死ぬまで護り続ける、ってことだ。ゴールのねぇ目的に向かって走り続けることは容易じゃねぇ。気が遠くなる。
だったらあんまりカリカリせず、多少のことは目を瞑り、隊士たちの士気を上げるってのが俺の役目だ。
まぁ、でも俺だって怒る時は、怒るぞ。がははは」
俺は珍しく、近藤さんの長い話に耳を傾けていた。
そして、柄にもなく少し感心した。
「すげーや、近藤さん。どこぞの副長さんにも見習ってもらいたいもんだぜィ」
「うっせー、黙れ」