□職権濫用
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真夜中、刃と刃を交える音が響く。


「沖田隊長!」

ギリギリと互いに一歩も譲らず、緊迫した空気が張り詰める。真選組隊士たちが刀を構え動けない中、彼らの目の前で刃を交えているのは一番隊隊長沖田総悟。そして、一人の男。


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チッ、何でィこの男。やけに馬鹿力じゃねーか。


今、まさに一戦交えているのはある指名手配の男。偶然発見した隊士からの緊急要請。『自分たちでは歯が立たない』とのこと。こりゃ確かにあいつらでは荷が重い。
力だけの剣なら勝てる。簡単に。だが、こいつは違う。技を備え、剣を振る。強い。俺は珍しく苦戦を強いられる。

そして僅かなミスが、最悪の結果を招く。

刃を交えた状態での一瞬の弛緩。体勢を立て直すためのその一瞬。しかし『体勢を立て直す』それが最大の判断ミスだった。奴はそれを見逃すこと無く、的確に急所を狙ってくる。刹那、何とか致命傷は免れた。切尖が首を掠り、肝を冷やす。


「逃げたぞっ!追え!!」

「隊長!大丈夫ですか!」


「どけっ、てめぇら!ついて来るんじゃねぇ。俺一人で充分だ!!」

ちくしょう、舐めやがって。ぜってぇ仕留めてやる。叩っ斬ってやらぁ。
苛立ちが募り、俺は急いで奴を追った。


「隊長、そいつは天人です!姿を変えることが出来ます!気を付けて!!」

遠くで隊士の警告が聞こえた。

姿を変える?何だ、変化でもすんのか?よく分かんねぇが、通りで今までなかなか捕まらなかったわけだ。

 
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