ZZZA
□秘めたるは。
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ゲ(危ねぇ、あと5年若かったらガバッといってた!ι)
主妹「もう自分で見ますよぉ〜」
三十路万歳だ。ゲンマは一度気持ちを落ち着かせようと深呼吸した。すると、いつの間にかさつきはアルバムに飽きて部屋を物色し出していた。
主妹「あ」
ゲ「今度は何だ?ι」
主妹「KO・NO・HA見っけですよぉ〜」
次にさつきはブックラックに手を伸ばした。なかなかジッとしない奴だ、とゲンマは呆れた。しかし劣情は紛れた。
ゲ「そりゃ、せつなちゃんと毎晩楽しむために・・・」
主妹「でもこれ・・・私の特集ですがぁ〜?」
ゲ「・・・」
向けられた表紙には“密着・最強くの一さつき”と書かれていた。ゲンマの喉が不自然に鳴った。そうだ、つい買ってしまったんだ。一緒にいたコテツに“さつきをからかってやろ”と建前を言って。しかも数ヶ月前の号だ。ついさっき、物を溜め込まないと言ったのに捨てずに取って置いてある。どう言い訳しよう。
主妹「どうしてですかぁ〜?」
ゲ「・・・・・・・あれだ」
主妹「どれですかぁ〜」
ゲ「甘いものばかり食べてたら、たまに辛いものも食べたくなるってやつ」
主妹「ははは、私は口直しですかぁ〜」
さつきがケラケラ笑う。誤魔化せたようだ。安心して心臓がバクバクした。
ゲ(いっ、今のはヤバかった!;;)
冷や汗も止まらない。上忍を誤魔化せた自分に称賛を贈りたい。忍務だとあれだけ勘が働くのに、恋愛ごとはポンコツなのだろう。さつきは挙動不審なゲンマを一切怪しむことなく、再びアルバムに目を落とした。
主妹「綱手様も全然変わらないですねぇ〜」
ゲ「初めて来たのにかなり寛いでいらっしゃいますねι」
主妹「とても落ち着きますよぉ〜」
ゲ「はいはい、そーですか」
すると突然空しくなった。こんなに気持ちをバレないように必死になってるのに、全く男として意識されてない。
ゲ(ゲンちゃん、ハートブレイクしちゃいそー)
主妹「だって部屋中ゲンマさんの匂いがしますし〜」
ゲ「え」
しかし何気ない一言で、ゲンマの表情は変わった。
ゲ「何・・だ、それ?」
主妹「私好きですよぉ〜、ゲンマさんの匂い」
ゲ「・・・」
鼻唄まじりにアルバムをめくっていく。今ゲンマが、どんな気持ちでどんな表情をしているのか知るよしもない。