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□秘めたるは。
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【ゲンマ宅】
ゲ「じっとしてろ」
そう言ってゲンマはさつきを見つめた。2人しかいない部屋はしんっとした。
主妹「でも・・」
ゲ「“でも”はナシだ」
ゲンマはさつきの言葉を遮ると、じりじりと迫った。とても真剣な眼差しで、さつきは目を逸らせなかった。さっきまで、こんなことになるとは思わなかった。今日は休みだったのでぶらぶらしていたら、偶然ゲンマが住むアパート前を通りかかっただけ。
主妹「ゲンマさん、本当に」
ゲ「黙れ」
するとゲンマのほうも部屋におり、ふと窓を見下ろして彼女を見つけた。休みだったので誘った。それでこうなった。さつきが身体を退くと、ゲンマの腕が逃げ道を塞いだ。
ゲ「いいからさっさと・・・・Σオレのナンプレを置け!!#」
主妹「だって〜目の前にあるからぁ〜」
主妹「こんなこと1人でしてるなんてぇ〜。あ、ここは2が入りますよぉ〜」
ゲ「Σって、書き加えんな!!#」
ゲンマはさつきから新聞紙を奪い取った。部屋に入ったさつきは、物珍しさに散策しまくった。ゲンマはぐしゃぐしゃになった新聞紙を開いて舌打ちした。数字が升目をはみ出して書かれていた。後で続きをしようと思ってたのに。ゲンマは誘うんじゃなかったと後悔した。
ゲ「ったく、油断も隙もねぇ#」
主妹「ゲンマさんってフリーペーパーの隅にある間違い探しをしちゃう人ですかぁ〜?」
ゲ「しちゃう人だよ#」
主妹「やっぱり〜」
ゲ「オレの部屋にアドベンチャーは存在しねぇーから、大人しくしろ#」
主妹「ああ、そんな感じがしますぅ〜」
さつきは部屋を見渡した。全く懲りてなかった。
主妹「さっぱりしたキレイなお部屋ですよねぇ〜」
ゲ「普通じゃね」
服も忍具も整頓されていた。千本やクナイは一まとめに棚に並んでいた。ちゃんと物の置き場が決まってるようだ。ゴミ箱はキッチンにあり、分別できるように3つ並んでいた。
ゲ「まあ、溜め込まないほうかもな。そんな趣味とかもねぇーし」
主妹「ふ〜ん」
ゲ「私服もほとんど持ってねぇ」
主妹「アスマさんが“男性が部屋をキレイにするのは女性を連れ込むためだ”と教えてくれましたぁ〜」
ゲ「そういやアスマさんのお宅もキレイだったわね#」
ゲンマは即行で道ずれにしてやった。まさか、密かに想いを寄せているさつきに言うとは。
ゲ(覚えてろよ、ヒゲ#)
主妹「ゲンマさんの夜の武勇伝はちょこちょこちょこちょこ小耳に挟みますよぉ〜」
ゲ「そんなにねーわ#」
それはさつきはただ笑い飛ばした。きと興味ないだけだろうが、ゲンマは安堵した。さすがに本命に警戒されたら傷つく。
ゲ「つーか、それ聞いてよくウチに来たなι」
主妹「変ですかぁ〜?」
ゲ「年頃の女が年頃の男と2人きりになったら危ないですよ」
主妹「え、年頃の男」
ゲ「あ、今お兄さん傷ついた」
当の本人が、自分を女として意識してないからだろう。さつきはあっけらかんと“警戒する理由がない”と笑った。ゲンマからすると複雑極まりない。