銀土

□愛昧
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あの子とは
体を交わす関係

けれど交わるのは体のみ

そんな曖昧な関係から
俺は一歩踏み出せずにいた







愛昧







『あれれ?土方くん…
もうイッちゃうの?
銀さんまだ足りないんだけど』

銀時の背中に回した土方の手が震える

『銀さんテクニシャンだからねー…』

「う…るせ…ぇ
はやく…終わらせろ…」

銀時の腰の動きがはやまると
土方の体に大きな衝撃が走った



『土方くん大丈夫?』

銀時は俯せている土方に布団をかけた

「少し寝たら、張り込みに行く
浪士共の動きが最近 騒がしいんだ」


『また?ここ最近仕事ばっかで、全然構ってくんないじゃん』

「なんで俺がてめーに構わなきゃいけねーんだ
大体、こんなことしてんのも、割り切ってるからだろ」


『えー、そんなこと思ってたの?銀さん心外ー』


布団をめくると
土方は既に寝息をたてていた

コイツ最近忙しそうだったもんな…


『俺は体だけだと思ってねーよ』

黒くて艶のある髪に指を絡める

俺には、まだ、
お前に伝える勇気がねぇんだ





隊を組織する有能な男


そんな男が 野郎なんかと恋だなんだって許すわけないだろう

土方に寄り添う様にニ度の眠りについた





「銀ちゃーん」

甲高い声で眠りから目覚めると
隣で寝ていた土方の姿はなかった

『もうそんな時間か…』

「銀ちゃん、早く起きるアル!定春ウンコしたネ!早く始末して欲しいアル」


『ああ?めんどくせーな、んなもん土に還るんだからほっとけ』

「外じゃないネ、家のお風呂場ネ」


『何してくれとんじゃボケェェェ!!!!』









あー 朝から疲れた
定春のウンコ片付けなんて…

『神楽ァ、ジャンプ買ってくるわ』

「遅くならないうちに帰ってくるのよー」

『お袋さん!?』


外に出ると
物騒な黒い服の男が歩いていた

『総一郎くーん』

「あ、旦那 早い寝起きで」
いつもの総一郎くんとは違って真面目な風貌だった

『早いのは総一郎くんでしょ いつもは昼から仕事してんじゃん』

「まあ今までは徘徊は昼からでしたけどねィ でも最近はいつものダラダラ徘徊じゃないんでさァ 」

『どうゆうことよ?』

「あれ、土方さんから聞いてませんか?」

『なーんにも てかあの子仕事の話なんて滅多にしないし』


「へーぇ」


『そのニヤニヤはなんだ?』

「いや、最近物騒でしてね、浪士共が真選組を狙ってるんでさァ だから局長を護るために朝から晩まで見張りをしてるんでさァ

それに、真選組の頭脳である副長の身も狙われてるわけでィ」

そう言って総一郎はまたニヤニヤした

「旦那、わかりますか?ここ一週間は寝る暇もない程忙しいんでさァ」


『…俺に会う暇もない程?』

「まあ、最近土方さん、異常なスピードで仕事終わらせてましたからねィ
そろそろ体がもたないんじゃないんですかね」

では、 と総一郎くんはニヤケ顔で歩いて行ってしまった


もしも…もしも俺が都合良く考えてることが正解だったとしたら…

ここ一週間忙しいのに
もう2回も俺ん家に来てるのは…

そのために体を壊すかもしれない程仕事を早く終えているなら…

『まじでか…』

一人で立ちすくんだまま顔が紅くなった



どうしても 自分の都合のいい様に動く思考回路

"違うかもしれない"なんて思っても期待は大きくなっていく

足は勝手に屯所へ向かっていた


「あれ、万事屋の旦那!?どうしたんですか?」


『お、ジミーくん お出かけ?』

「あ、今からキャバクラに」

『まじでか 税金ドロボー』

「ちがいますよー潜入捜査です」

なるほど、例の浪士共のか

『ところで土方くんいる?』

「ああ、副長は今 張り込みに行ってます
夜に帰ってきて、その後市中徘徊です」

『忙しいんだな
ところでジミーくんはどこのキャバクラ行くの?』

「スマイルです
俺そろそろ行きますね、それでは!」






『そういやジャンプ買わなきゃ』









ジャンプを買って帰宅すると
新八と神楽がテレビを見ていた

「あ、銀さん
おかえりなさい」

『何のニュースだ?』

「最近 真選組を狙った浪士達が過激化してるらしいんですよ」

『ああ、それか』

「銀さん知ってたんですか?昨日、真選組隊士が何人か斬られたらしいです」

『へー そんなに狙われてんのかアイツら』

「あと土方さんも腕少し怪我したみたいですよ」

『は?まじで?』


「はい、今朝ここに来る時見かけて少し話しました
"浅い傷だから、たいしたことない"っては言ってましたけど…
結構包帯巻いてたので心配です」


『そうか…今からどこ行くって?』

「浪士達の本部を張り込みに行くらしいです
結構大人数でしたので、かなり危険っぽかったです」








『ジャンプ読んでも頭に入らないわ』


何回も読み返しているうちに夜になっていた


俺は外に出て あいつが徘徊しそうなところを廻った
が、会うことはなかった

『ジミーくんに聞くか』


キャバクラを目指していると
店の前にお妙と土方がいるのを遠目で見つけた

するとお妙に土方がもたれ掛かった

信じられない光景を見た足は歩くのを止める
動かない  動けない





すると お妙は俺に気づいた

「銀さーん!土方さんが」


走って近寄って
お妙から土方を引き離した
『おい、土方何してんだよ』

「ちょっ…何してんのはあなたよ!土方さん具合悪そうだから 乱暴にしないで」


『…は? 』

土方に目をやると
確かにいつもより顔が紅く息も荒い

「店の前でぐったりと座ってたの」


俺は土方を引き取って
家に帰った










「…ここ、どこだ…?」

『あ、起きたか?』

「万事屋!?なんで…」


『お前無理しすぎ…
お妙の店前でダウンしたんだと?』

土方はまだ熱がある様で
息も荒い

「俺がいないと隊が…」


『大丈夫だってさ
総一郎くんとジミーがゆっくり寝てろと伝えろってさ あの後浪士共捕まえたらしい』

「そうか…よかった…」


土方は目を閉じた


『なあ、お前最近忙しかったのか?』

「あ?忙しのはいつものことだ」

『特にだよ、特に
会いにくるのも、やっとだったって聞いたけど?』

「なっ、んなわけねーだろ!誰がそんな忙しいのにお前に会いに来るか!!」
土方は飛び起きた


『ほら、熱あるんだから寝てろ 』

寝かせた土方の顔は、さっきより真っ赤だった

『俺、もしそうなら嬉しいよ
俺に会いにきてくれる程愛されてるなら』

「っだれが…」

土方はそっぽを向いてしまった

『好きだから…

好きな子がそんなことしてくれたら嬉しい』

「…俺の事を?」

少し土方の背中が小さくなった

『うん、好き
大好き』

好きと言う度に背中がびくびくするのが可愛い


『ねえ、土方くんはどうなの?嫌いな奴に身体預けないよね?』

「…うるせえ、気づけよ!

野郎に キ、キスとか、それ以上のことされるのでも最悪なのに、嫌いな奴にヤらせるか!

何回も許してる時点で気付け糞天パ!!!」

そういって 土方は熱で潤んだ瞳で睨んできた


『そっかあ
そっかそっかそっかあ』


「ニヤニヤしながら触ってくんな!」

怒る土方の顔は真っ赤に染まってまるで説得力がない

『そんな可愛い顔して怒られると余計にクるね』

「っ!!ど…こ触って…」
揉みしだくようにお尻を触ると土方の体がビクっと震えた

「んんっ」
体中を舐めると土方は布団に顔を埋めながら声を我慢している


どこもかしこも熱のせいで熱い…
指を飲み込んでいく穴の中も熱くてトロトロだ
もういいかな…
俺はゆっくり土方の中に入った

『、きつくない?』
病人にこんなことをして心配しないわけがない

「…へーき、だ

ンアっ!?」
真っ赤な顔して俺を見つめる土方を見たら我慢できなくなった

『無理だったら言えよ』

俺の首に腕を回した土方は一生懸命に頷いている


『土方っ』
なるべく優しくしようと思ったが
熱い土方の中が気持ち良すぎて 腰の動きが止まらない

「ぎんとき…きもち…ぃ」
そんなこと言われると余計…


俺は土方の中で果てた

土方もイッたようだ


「、てめっ、中に出しやがったな!?ただでさえ処理めんどくせぇのに熱あんだぞっ」
息荒く怒る土方
鬼の副長が俺の前でイッてハアハアしてるなんて…いつ見ても萌える
『お前があんなかわいいこというからワリーんだよ
あんあんヨガって、そんなに気持ち良かったの?』


「ふざけんなっ!誰が…!」
素直じゃないなーと思いながらも
そろそろ土方の体が心配になり寝かせた

子守唄を歌ってやったら、最初はギャーギャーうるさかったのにすぐ寝てしまった

やっぱり無理させちまったか…


『おやすみ』

自分の布団も、かけてあげた

俺も寝るとしよう


土方の隣で 一枚の布団に包まり寝た







翌朝、土方にかけてあげた布団が俺の上に乗っかっていた

仕事に行ったのか…



週に1・2回の 変わりない風景



だけど確かに愛がある


いや、もしかしたら
前から愛はあったのかもしれねェな…

結構あいつ、俺のこと好きだろ

自分の都合の良い様に動く思考回路



「銀ちゃーん、また定春が…
なにニヤニヤしてるアルか?」


『うるせーよ』




俺も大概…











end
 

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