イナゴ 夢小説

□プール
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霧野「あ、ゴム切れちゃった」


 プールサイドで髪を結い直していた霧野先輩が言った。

先輩の手には、切れたゴムが握られていた。


霧野「売店あったし、買ってくるかな……」



 髪のほどけた霧野先輩は、やはり女の子のようだった。

だが、やはり身体は男らしく、こうみると精悍で美しい少年だ。


 髪の先から落ちる水滴は、先輩のキレイな肌を撫でるようにつたっていった。




一言でいうと、色っぽい。



女とも男とも思えぬその姿は、芸術的な美しさだった。



紅音「っ………」

霧野「どうした?やけに視線を感じるけど……」


 霧野先輩が僕を見た。

先輩の顔には所々濡れた髪が張り付き、顔についた水滴が更に先輩の顔を美しく飾っていた。




……この上ないくらいの美男子だ。


すごく、素敵でかっこいい。




 暑くないはずなのに、僕の顔は火照った。


霧野「な、なんだよ……嬉しいけど、なんでそんな反応を……」


 霧野先輩が僕の肩に手を置いた。


僕の身体が無意識にびくっ、と動いた。



 先輩のわずかな指先の動きが、直接肌に伝わってきて、ドキドキする。

僕は霧野先輩と目が合わせられなかった。


霧野「おい……紅音……?」

紅音「ふぁっ!? そ、その!僕待ってるので、先輩は売店に行ってきてください!」

霧野「……あ、あぁ…」


 
 先輩は僕をじっと見つめたあと、売店に向かって歩きだした。


僕はほっと胸を撫で下ろす。



 



 が、霧野先輩の後ろ姿に目をやると、その美しさに再び息がつまった。
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