イナゴ 夢小説

□最高のコスプレ
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紅音「ま、マサキくん!いつまで手を引っ張って……」

 校門を出ても、マサキくんは僕の手を引いて歩いていく。

他の下校中の生徒から見られるので、僕は少し恥ずかしかった。



紅音「ど、どうしたの?マサキくん……なんか変だよ?」

 僕は無言で進んでいくマサキくんに問いかける。

無言、ということはやっぱり怒っているのだろうか……

僕は何かこの場を和ませるようなことを言おうと考えた。






 変なマサキくん……変………そういえば霧野先輩が変なときがあったっけ。

確かあれは霧野先輩が嫉妬して……





紅音「ま、マサキくん!もしかして嫉妬?」
狩屋「そ、そんなわけないだろ!」




無言だったマサキくんがいきなり怒った。
冗談は逆効果だったらしい。





紅音「ごめん、マサキくん。僕はただ、じょうだ…」



僕が話そうとすると、マサキくんはぴたりと足を止めた。



紅音「………?」

狩屋「そんなにわかりやすかったか?」

紅音「……え、何が?」

狩屋「だから、オレが先輩たちに嫉妬してるの、そんなにわかりやすかった?」

マサキくんは僕の方を見ないでそういった。









紅音「え!?マサキくん嫉妬してるの!?なんで!?」

狩屋「は? え、だって紅音、気づいてたんじゃ……?」
マサキくんが振り返った。




紅音「き、気づいてたって……何に?」

狩屋「はあ?え、なに?どういうこと?」


僕たちは二人で頭にクエスチョンマークを浮かべていた。


とりあえず、マサキくんはなぜか先輩に嫉妬しているらしい。

……でも、先輩ってそもそもどの先輩だろうか。






紅音「ま、まあ、なんであれ、マサキくんは先輩に嫉妬しなくていいんじゃないかな?」


狩屋「わかったような口きいてるけど、実際何もわかってないんだろ!?」

紅音「う。 そ、そうだけどさ……」

僕は笑った。





紅音「でも、マサキくんはそのままで素敵だから、他人に嫉妬なんてしなくていいんじゃないかな?と、思って……」

 先輩たちは確かにかっこよくて、技術も高いかもしれない。
でも、マサキくんだって十分凄いと僕は思うのだ。




紅音「ま、的はずれなこと言ってたらごめんね」

ごまかすように僕は笑う。


だが。
狩屋「笑うな!……なんかムカツクから!」

紅音「えっ!? ご、ごめん!」




マサキくんは足早に歩き出した。
僕は焦って追いかける。


紅音「待ってよ、マサキくん!」

狩屋「あーっ!何か凄くイライラする!なんだこれ!オレはどうすればいいんだよ」

紅音「な、悩みがあるなら僕に……」

狩屋「もう黙れ!」
紅音「ご、ごめんなさい……」







 僕は近頃、マサキくんに嫌われている気がする。

……気のせいであることを願うしかなかった。
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