イナゴ 夢小説

□嫉妬
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 その日の授業中。
僕は朝の霧野先輩との会話を思い出す。




嫉妬。


 霧野先輩は僕に嫉妬しているようだ。
僕は悪いことをしてしまった気がした。


僕は少し二人の仲にでしゃばりすぎているのだろか?




 そして次に、朝練のときの霧野先輩の様子が気になった。

あの時もしかして霧野先輩は、神童先輩を僕と会話させないようにしていたのだろうか。

そう思ってしまうほどに、朝練のときの霧野先輩は少し様子がおかしかったのだ。

神童先輩も、霧野先輩の呼び掛けには少し疑問を感じているようだった。






紅音「………全部僕の気のせい、かな?」


 つい呟いてしまい、僕はその後先生に怒られた。








放課後。

 サッカー棟へ向かおうと廊下を歩いている途中、僕は朝と同じように軽く背中を叩かれた。

紅音「霧野先輩!」
僕の隣に顔を出す霧野先輩。

霧野「今日は良く会うな」
 霧野先輩は笑顔だった。

授業中に僕が考えていたことは気のせいだったのかもしれない。

僕だったら嫉妬している相手には笑顔で話しかけないだろう。



紅音「よかった……」
霧野「ん?何がだ?」


紅音「あ、いや……霧野先輩に会えてよかったな、なんて……」

僕は笑ってごまかした。
……ごまかせただろうか?




 僕と霧野先輩が笑いながら廊下を歩いていると、僕たちは背後から声をかけられた。

神童「霧野、紅音!」
それは聞き慣れた神童先輩のものだ。


紅音「神童先輩!」
僕は勢いよく振り返る。



霧野「神童……」

神童「二人ともサッカー棟へ向かってるんだよな?」
紅音「はい、さっき霧野先輩に会って……」


霧野「神童。」

 霧野先輩が呼び掛けた。


その呼び掛けに、僕は少しだけ朝と同じ違和感をおぼえた。



霧野「さっき担任が探してたぞ?」


まただ。
また、変な感じがした。





神童「そうか、じゃあちょっと職員室によってから行こうかな……」

 そういって、神童先輩は来た道を戻っていった。


霧野「行こう、紅音」
紅音「あ、はい……」







 僕は歩きながら、授業中に考えていたことが「気のせい」ではないことを確信していた。

やはり、霧野先輩は僕と神童先輩を離そうとしている。


霧野先輩は僕が神童先輩に近づくのを阻止しているのだ。





 霧野先輩は笑顔で話し掛けてきてくれる。
僕はそれに応えながらも、今後どうするべきか考えていた。
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