イナゴ 夢小説
□僕の悩み
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僕が入部してから、一週間以上がたった。
マネージャーの仕事は想像以上に大変で、やりがいがあった。
女子マネージャーさんたちに「男の人がいると助かる」と言われて、とても嬉しかった。
そして何より、雷門サッカー部のみんなをサポート出来るのがとても光栄で、楽しかった。
ただ、1つ。
僕には悩みがあった。
練習の休憩中。
僕たちマネージャーは選手にスポーツドリンクを配る。
紅音「狩屋くん!おつかれさま!」
僕は努めて明るくそう言って、狩屋くんにスポーツドリンクを差し出した。
だが昨日や一昨日と同じように、狩屋くんは今日もこう言った。
狩屋「いらない。」
紅音「で、でも!飲まないと脱水症状で、倒れて……」
僕は雷門サッカー部のみんなに、元気でサッカーをして欲しい。
でも狩屋くんは僕の話は聞かずに、すぐにフィールドに戻ってしまうのだ。
紅音「僕、何か悪いことをしちゃったのかな……」
天馬くんや信助くんは、よく僕のクラスに遊びに来てくれる。
狩屋くんも二人に付き添うように僕のクラスに来てくれるのだが、いつも不機嫌そうで、そしていつもすぐにどこかへ行ってしまう。
……そう。どうやら僕は狩屋くんにあまり好かれていないらしい。
いや、むしろ嫌われているのだろう。
そこでこうして休憩中にスポーツドリンクを渡そうと試みているのだが、全く受け取ってくれないのだ。
紅音「どうしてだろう……」
練習が再開される。
今日は二チームに別れてゲームを行っていた。
後半戦が始まった。
序盤から、神童チームがせめる。
狩屋くんはそれを止めるために、必殺技を使おうとする。
……が、その時。
神童「狩屋!?」
狩屋くんは、フィールドに倒れた。
神童「おい!狩屋!」
ゲームは中断された。
選手たちは狩屋くんの元へ駆け寄る。
僕たちマネージャーも、救急箱を持ちながら駆け寄った。
紅音「狩屋くん!」
狩屋「ん……」
狩屋くんは意識がもうろうとしているようで、焦点の定まらない目で僕たちを見た。
茜「脱水症状……」
水鳥「おい!だれかスポーツドリンク持ってこい!」
僕は急いでベンチにスポーツドリンクを取りに行く。
そして水鳥さんが狩屋くんになんとかスポーツドリンクを飲ませた。
水鳥「急いで救護の教諭を読んできてくれ!」
紅音「ぼ、僕が運びます!」
水鳥「なっ……」
僕は狩屋くんをおぶった。
紅音「救護の先生を呼んでくるよりも、こっちの方が早いですから!!」
僕は狩屋くんをおぶったまま、全力で走った。