イナゴ 夢小説

□マネージャーの仕事。
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 午前中の授業が終わった。

僕は体を伸ばし、机の上に出た教科書たちをしまう。

すると、背後から手が伸びてきて、僕の両目を覆った。



「誰でしょう」


 いつもより大きい教室のざわめきの中で、僕は手の主の声を聴く。


紅音「えっと……?」

 この教室を訪れるのは、天馬くんか信助くん、マサキくんくらいだ。
他にも、ときどき輝くんが来てくれるが……


 どの人の声でもない。




僕は自分の目に当てられたその手を触る。

……なんというか、女性的な手だった。



紅音「……き、霧野先輩ですか……?」

 僕がそう言うと、その手は離れ、視界が明るくなった。

僕は振り向く。


そこには霧野先輩と、少し後ろに神童先輩がいた。

霧野「正解。……なんでわかったんだ?」

紅音「あ、えっと……女性的な手だなあ、と思って、女性的と言えば霧野せんぱ」
霧野「なんで女性的イコール俺なんだ。」

紅音「う、ご、ごめんなさい……」
 霧野先輩に「女の子みたい」といった類の単語は禁句だった。

僕が謝ると霧野先輩は笑った。


紅音「それで……どうして僕なんかに会いに来てくれたんですか?」
 嬉しいが、2年の二人が出向いてくる、ということはなにか重大なことでもあったのだろうか、と思ってしまう。

僕の質問に二人は真剣な顔で目を合わせた後、神童先輩の方が口を開いた。


神童「放課後、鬼道監督が来るように、と言っていた」
紅音「よ、呼び出しですか……」

 僕は鬼道監督のことが少し苦手だ。

雷門イレブンの司令塔として活躍していた鬼道監督。
素晴らしい人だとは思うが、目の奥で何を考えているのかわからないところが怖い。


 僕が放課後を思ってヘコんでいると、霧野先輩が僕の肩に手をおいた。

霧野「まあ、あんまり重く考えるなよ。鬼道監督はいい監督だ。」
紅音「……はい。」



 二人は教室を去っていく。
教室の女子たちは二人の背中を見ながらきゃいきゃいと話をしていた。
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