イナゴ 夢小説
□キス
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狩屋「帰るぞ」
マサキくんがいつも通りに言った。
紅音「うんっ!」
僕は笑顔で応じる。
いつも通りの帰り道だった。
無言の時間。
僕は心の中で歌を歌い、弾む気持ちで下校する。
別に今日の夕食が楽しみなわけではない。
マサキくんと下校するのが楽しいからだ。
だが、その楽しい時間は終わりを告げる。
紅音「あ!部室に宿題忘れた!」
僕は叫んだ。
そうだ、ジャージをしまうときに出したまま、ロッカーに置いてきてしまった。
紅音「ど、どうしよう…」
狩屋「問題集とかなら貸せるけど?」
紅音「ありがとう、でもプリントなんだ……」
僕は仕方なく、学校に引き返すことにした。
紅音「ごめんね、マサキくん……せっかく一緒に帰っていたのに……」
狩屋「別にいいけど……気を付けろよ。痴漢とか、事故とか、あと転んだりとか…………やっぱりオレもついていった方が……」
紅音「大丈夫だよ!そんなに心配しなくても!」
マサキくんはちょっと僕を甘くみすぎだ。
登校と下校ぐらい、一人でできるのに。
僕はマサキくんに手を振って、学校へ走った。